車を持たない選択も!カーシェアリングとカーリースの違いを解説
自動車を持ちたいと考えているものの、金銭的な負担はできるだけ抑えたいと考えている人も多いのではないでしょうか。
確かに車を所有すると、本体代金だけではなく税金や保険料などの諸費用も支払う必要があるため、金銭的な負担が大きくなります。
そこで金銭的な負担を抑えて車を利用したい方は、カーリースやカーシェアリングを検討するのも方法です。
本記事では、カーシェアリングとカーリースそれぞれの特徴やメリット・デメリット、維持費の違いなどをわかりやすく解説していきます。
自動車を所有した場合にかかる維持費の目安
カーシェアリングとカーリースについて解説する前に、自動車を所有する場合の維持費を解説します。
自動車を所有する場合、以下のような税金や保険料、メンテナンス代などの負担が必要です。
- 自動車税・軽乗用車税
- 自動車重量税
- 自動車保険(自賠責保険・任意保険)
- 燃料代・オイル交換費用
- 点検費用・部品交換費用
- 駐車場代
- 車検費用
自動車を購入すると、本体の購入価格とは別に年間で40~60万円ほどの維持費用がかかるといわれています。
ただし維持費用は、所有する車の排気量や走行距離、車を利用するエリアなど、さまざまな要素で変化します。
たとえば自動車税や自動車重量税は、車の排気量によって税額が決まる仕組みです。一般的に排気量が多い車種ほど、税額は高くなります。
また年間の走行距離が多くなると、燃料代やオイル交換費用、部品代などが高くなるのが一般的です。
保険会社によっては、年間の走行距離が多いと自動車保険料が高くなる場合があります。
駐車場代は、お住まいのエリアによって異なります。
地方都市では5,000~1万円程度で済むケースも珍しくありませんが、都心部では2万円や3万円かかるケースも珍しくありません。
生活に車が必要であるにもかかわらず、所有すると高額な維持費用がかかるために、購入を諦める人は少なくありません。
そこで注目されているのが、車を借りる「カーリース」や、車を共有する「カーシェアリング」です。
カーリースとは
カーリースとは、車を貸し渡す契約です。
契約者はリース会社から車を貸し出してもらい利用する代わりリース料を支払います。
2~10年程度のリース期間が満了すると「車を返却する」「車を買い取る」のどちらかを選択できるのが一般的です。
カーリースの仕組みは、残価設定型ローンと似ています。
残価設定型ローンとは、購入から3年や5年が経過した後の予想下取り価格である「残価」を、返済の最終回まで据え置くローンです。
たとえば車の本体価格が400万円、残価が180万円である場合、400万円-180万円=220万円とローンの利息を毎月支払っていきます。
返済の最終回では「残価を一括で支払う」「残価を支払わず車を返却する」「再びローンを組む」のいずれかを選択します。
ただしカーリースは、利用料金に諸費用が含まれている点が残価設定型ローンとは異なります。
具体的には、車両価格から残価を引いた金額に、諸費用を足した金額が毎月支払うリース料金となるのです。
リース料に含まれる諸費用は、自賠責保険や自動車税、自動車重量税などです。
契約によっては、車検費用やオイル交換費用などを含められます。
カーリースのメリット
カーリースのメリットは、以下の3点です。
- 費用負担を抑えて新車を持てる
- 車種の選択肢が豊富
- Web上で契約が完了する
カーリースは、自動車ローンを利用して車を購入するよりも金銭的な負担を抑えて新車を所有できます。
基本的に頭金は0円であり、月々のリース料の中に諸費用も組み込まれているためです。
ご自身で車検や自賠責保険の手配をしたり、自動車税を納めたりする必要がないため、維持管理の手間が省ける点もカーリースのメリットです。
またカーリースは、現行モデルとほぼ同等の車種が選べます。
レンタカーは、店舗によって選択できる車種が異なります。
またカーシェアリングは、カーステーションに置かれている車しか選択できません。
よって車種の選択肢は、カーリースのほうが豊富といえます。
リース会社によっては、インターネット上でリース契約を完結できるため、購入時やレンタカーを利用するときのように、店舗に行って契約をする必要はありません。
カーリースのデメリット
一方で、カーリースには以下のデメリットがあります。
- 駐車場代やメンテナンス代などを支払う必要がある
- 途中で解約すると違約金が発生する
- 装備・付属品の取り付けや走行距離が制限される場合がある
カーリースで借りた車は、自身が契約した駐車場で管理するため、駐車場代を支払う必要があります。
契約によっては、消耗品の交換費用や車検代なども負担しなければなりません。
また、自賠責保険の保険料はカーリース料金に含まれていますが、ドライバーが任意で加入する任意保険は含まれていません。
万が一事故を起こした場合に、自賠責保険だけでは補償が不足する可能性が高いため、任意保険に加入することをオススメします。
カーリースの契約期間は、短いものでは3年ほどですが、長い場合では10年以上となります。
カーリースは原則として契約期間中に解約ができません。仮に解約できたとしても違約金が発生するケースがほとんどです。
契約期間や違約金を確認し、最後まで利用できる見込みがあるのか考えることが、カーリースを契約するときの重要なポイントです。
借りた車両に装備や付属品を取り付けても、リース契約時に設定した残価は変わりません。費用をかけてでも、装備や付属品の取り外しを要求される場合もあるのです。
また走行距離に制限が設けられていた場合、計画的に走行しなければ追加料金を請求される可能性があります。
カーシェアリングとは
カーシェアリングとは、複数人で車を共有するサービスです。カーシェアリングを利用するためには、事前に車を管理・所有している会社に会員登録をする必要があります。会員登録時には、運転免許証やクレジットカードなどが必要です。
会員になったあとは、事前予約をしたうえで指定した時間に車が置いてあるステーションへ行き、スマホや会員カードでロックを解除すると車を利用できます。
利用終了後にもとのステーションへ返却し、スマホや会員カードで施錠すると、後日利用金額がクレジットカードから引き落とされます。
親や友人などから車を借りて運転する場合はコチラのコラムがオススメ!
カーシェアリングのメリット
カーシェアリングのメリットは、以下の3点です。
- 購入費用や維持費がかからない
- 駐車場代やガソリン代が不要
- 予約後すぐに利用できる
カーシェアリングの利用でかかる料金は、月額の会員料金と車の利用時間に応じた料金です。カーリースと同じく購入費用だけでなく、税金や手数料などの諸費用もかかりません。
車検やメンテナンスは、すべて業者が行ってくれます。
またカーシェアリングの車は、所定のステーションに置かれているため駐車場を契約する必要もありません。ガソリン代もかからないだけでなく、給油や洗車を手伝うと利用料金が割引されることもあるのです。
カーシェアリングの予約はスマホやPCなどから簡単にできます。別の予約が入っていなければ、予約後すぐに利用することも可能です。
カーシェアリングのデメリット
一方でカーシェアリングには、以下3点のデメリットがあります。
- 予約が埋まっていると借りられない
- 予約時間内に車をもとの場所へ返却する必要がある
- 車内清掃が不十分の可能性
希望の時間帯にすでに予約が入っていた場合は、キャンセルがない限り利用できません。
また予約の段階で利用時間を細かく設定し、返却時間を厳守する必要があります。
レンタカーであれば、借りた営業所とは別の営業所で乗り捨てられる場合があります。しかしカーシェアリングは、必ずもとのステーションに車を返却しなければならないため、原則として乗り捨てはできません。
カーシェアリングはあくまで、複数人と車を共有するサービスであるため、ご自身の好きな時間に利用できるとは限らない点に注意が必要です。
また前回の利用者が乱雑にカーシェアリングの車を利用していた場合、車内が汚れている場合があります。
まとめ:生活スタイルに合わせた選択を
カーリース | カーシェア | 自動車の購入 (マイカー) |
|
---|---|---|---|
利用期間 | 年単位で設定可能 契約期間中はいつでも使える |
数時間~数日 ほかに利用者がいなければいつでも使える |
所有している限りいつでも利用可能 |
料金 | 月額定額 | 月額基本料金+利用時間・走行距離分の利用料 | 購入費+維持費 |
駐車場代の負担 | あり | なし | あり |
諸税・自賠責保険手続き | 利用料金・プランに含まれている | 利用料金・プランに含まれている | 自分で手続き・支払い |
任意保険 | ついていないため、自分で契約する必要あり | プランに含まれていることが多い | 自分で選んで契約する |
オススメの人 | 長期間・いつでも運転できるようにしたい 費用を抑えて新車に乗りたい |
月に1回買い出しで運転するなど、利用が限定的 | 長期間・いつでも運転できるようにしたい 家族構成などに合わせて車を買い替えたい |
自動車を購入するほかにも、カーリースやカーシェアリングを利用する選択肢もあります。それぞれに一長一短があるため、ご自身のライフスタイルに合った選択をすることが大切です。
もしご自身に適した選択が分からない場合は、ファイナンシャル・プランナー(FP)に相談するのも方法です。
FPナビであれば、家計の見直しが得意なFPに無料で相談ができますよ。
もし、車を所有する・カーリースを契約する場合は、任意加入の自動車保険を検討することをオススメします。
万が一事故を起こした場合、自賠責保険だけでは不足する可能性が高いからです。
車の修理代を補償する車両保険はいくら必要なのか、自動車保険を選ぶときのポイントなどを解説したコラムなどもあるので読んでみてください。
この記事を書いた人 | |
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品木彰 | |
保険、不動産、住宅ローンなどの記事を執筆するフリーランスライター 大手生命保険会社、人材会社の勤務を経て2019年1月にして独立。記名記事多数。 保有資格:2級FP技能士 |