2021年に車の自動ブレーキが義務化!内容や補助金についてチェック

自動車事故がニュースを騒がせることも多い中、2019年12月に国から発表された「自動車の自動ブレーキ義務化」。
簡単に説明すると、自動ブレーキ義務化は、2021年の11月から「新型の国産車」を対象としてスタートする制度です。
しかし、これだけでは「自動ブレーキ義務化」が、わたしたちにどんな影響を与えることなのかがわからないですよね。
自動ブレーキ義務化について、知っておくべきことは何なのかも気になります。
この記事では、自動ブレーキ義務化の詳しい内容を解説。自動ブレーキ義務化に関連した補助金制度など、家計に役立つ情報についてもまとめました。
自動ブレーキ義務化の内容
「自動ブレーキ義務化」の内容を説明するには、国土交通省が発表した施策内容と、「自動ブレーキ」そのものについての解説が必要です。
それぞれ順に見ていきましょう。
「自動ブレーキ義務化」とは?
2021年11月をはじめとして、国内で販売する自動車に「自動ブレーキ」の搭載が義務化されます。
自動ブレーキ義務化には、以下のような背景があります。
- 事業用自動車の居眠り運転などによる重大事故が発生していること
- 国内の、高齢者による運転事故割合が増加していること
日本の運転死亡事故において、わき見運転や運転操作ミスによる事故が大きい割合を占めています。
とくに近年では、高齢者が起こす事故割合が増加しており、死亡事故の30%が運転操作ミスによるものとなっているのです。
自動ブレーキを含む、安全サポート車による運転操作の補助は、運転ミスによる事故削減に効果をあげることが期待されています。
対象の車と開始時期
自動ブレーキ義務化の開始時期は、新型車かどうか、輸入車かどうかによっても異なります。
詳しい開始時期は以下のとおりです。
国産車 | 輸入車 | |
---|---|---|
新型車 | 2021年11月 | 2024年7月 |
継続生産車※ | 2025年12月 | 2026年7月 |
※軽トラックは2027年9月 |
なお「新型車」とは、新車(新しく購入した車)のことではなく、メーカーが生産する「新しいモデルの車種」のことです。
一方の継続生産車は「従来から販売されているモデルの車種」。
よって、2026年7月までには、購入できるほぼすべての車に自動ブレーキが搭載されることとなります。
そもそも自動ブレーキってなに?
「自動ブレーキ」の正式名称は、「衝突被害軽減ブレーキ(AEBS)」。
「衝突被害軽減ブレーキ(AEBS)」を名乗るには、国土交通省の認定を得る必要があります。
認定には、国の定める試験をクリアする必要があり、厳しい性能の基準が定められているのです。
自動ブレーキ義務化における衝突被害軽減ブレーキの認定基準は、以下の内容で発表されています。

主な要件
- 静止車両、走行車両、歩行者に対して試験を行い、所定の制動要件を満たすこと。
- エンジン始動のたびに、システムは自動的に起動してスタンバイすること。
- 緊急制動の0.8秒前(対歩行者の場合、緊急制動開始)までに警報すること。
横断する子供との事故を想定した「歩行者に対する試験」など、高いレベルの衝突回避試験にクリアすることが条件となっています。
自動ブレーキとはいえ過信は禁物ですが、重大事故を防ぐ一助となる安全装置となるでしょう。
自動ブレーキ義務化の疑問。今乗っている車はどうなるの?

運転者の中には、まだ自動ブレーキを搭載していない車を所持している方も多いことでしょう。
そうなると、現在乗っている「自動ブレーキ非搭載車」の扱いがどうなるのか気になりますよね。
安心していただきたいのが、自動ブレーキ非搭載車に乗り続けたからといって、罰則はありません。
しかし、こういった疑問もあるでしょう。
いずれは、自動ブレーキ搭載車に買い換えなくてはいけないのか?今の車に自動ブレーキをつける方法はないのか?
この疑問点を解決していきます。
自動ブレーキ非搭載車に乗り続けることへの罰則はなし
自動ブレーキ義務化以前に手元にある車に対しては、そのまま乗り続けても特段問題ありません。
自動ブレーキ義務化は、2021年11月以降に販売される「新型車」が対象なので、すでに所持されている車に対しては対象外だからです。
現状、自動ブレーキがないという理由で車検に落とされる心配も無用です。期限付きで買い換える必要もありません。
安全装置の後付もオススメ
罰則がないとはいえ、安全性の高い自動車に乗り換えたい。高齢運転者である両親の車に、安全装置をつけたい。
でも、まとまったお金もいるし、今すぐには難しい…。
そんな場合は、買い替えではなく「後付」という手段があります。
後付ができるのは、国土交通省認定の「ペダル踏み間違い急発進抑制装置」。
自動ブレーキとは異なりますが、アクセルとブレーキの踏み間違いによる事故を抑制できる安全装置です。
次の章で詳しく説明しますが、65歳以上を対象とした安全装置後付を支援する制度もあります。
とくに、高齢者の運転事故の多くが、アクセルとブレーキの踏み間違いなどの操作ミスによるもの。
今の自動車を乗り続けるのであれば、「ペダル踏み間違い急発進抑制装置」の後付を選択肢の1つとして考えてもいいでしょう。
自動ブレーキ義務化と「お金」の話

自動ブレーキ義務化に関連した、家計に影響のある施策や制度について説明します。
上手に利用することで、お得に自動ブレーキ搭載車に乗ることができますよ。
サポカー補助金
「サポカー補助金」は、国の安全装置搭載車購入支援策。2020年3月9日から申請が開始されています。
高齢者向けに、自動ブレーキ搭載車の購入などを推進するための制度です。
その内容とは、令和3(2021)年度中に満65歳以上となる人を対象に、次の2ケースの購入を補助するというもの。
- 「対歩行者衝突被害軽減ブレーキ」や「ペダル踏み間違い急発進抑制装置」を搭載する車(サポカー)の購入
- 「ペダル踏み間違い急発進抑制装置」を、所持中の車に後付
高齢者の事故防止の観点からも、積極的に利用していきたい施策となっています。
サポカー購入補助金額
補助対象の「サポカー」とされるのは、国が認定する次の機能を有した自動車です。
- 対歩行者衝突被害軽減ブレーキ
- ペダル踏み間違い急発進抑制装置
補助対象となるサポカーには、「1.対歩行者衝突被害軽減ブレーキ」は搭載が必須。
「2.ペダル踏み間違い急発進抑制装置」がついていると、更に高額の補助が受けられます。
補助額には、最小2万円から最大10万円までの幅があります。
考え方は以下の表のとおりです。
新車 | 中古車 | ||
---|---|---|---|
乗用車 | 軽自動車 | ||
機能1.のみ | 6万円 | 3万円 | 2万円 |
機能1.2.両方 | 10万円 | 7万円 | 4万円 |
後付けのペダル踏み間違い急発進抑制装置購入補助金額
補助対象となるのは、すでに所有している自動車に後付で、国が認定する「ペダル踏み間違い急発進抑制装置」を設置した場合です。
設置した装置の機能内容につき、補助額が異なります。
障害物検知機能付き 「ペダル踏み間違い急発進抑制装置」 |
上限4万円 |
---|---|
障害物検知機能なし 「ペダル踏み間違い急発進抑制装置」 |
上限2万円 |
自動ブレーキ付きの車は、自動車保険料がお得に!?
自動車保険には、自動ブレーキ搭載車への割引「ASV割引」が存在します。
ASV割引(自動ブレーキ割引)が適用できる車種の場合、保険料に9%の割引率が適用されるというものです。
ASV割引の適用要件は、発売後約3年以内※の型式の車であること。
発売後3年経過した場合、割引の適用は終了となります。
たった3年で終わってしまうの?と思うかもしれませんが、ご安心ください。
割引が3年で終了する理由は、3年経過した型式については「型式別料率クラス」という保険料が適用されるため。
型式別料率クラスでは、各車の型式ごとのリスクで保険料を割り出します。自動ブレーキのもつ、事故リスクの低さが直接保険料計算に反映するため、割引の対象外となるという仕組みになっているのです。
※型式が発売された年度の3年後の12月末までの期間
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自動ブレーキ義務化についてのまとめ

自動ブレーキ義務化の内容と、私たちへの影響についてまとめます。
- 自動ブレーキ義務化は、2021年11月以降に販売される「新型車」からスタート。
- 2026年7月までには、新車として販売されているほぼすべての自動車に、自動ブレーキが搭載される。
- 所持中の車が、自動ブレーキ非搭載でも罰則はない。
- 65歳以上を対象として、「サポカー補助金」や、「ペダル踏み間違い急発進抑制装置の後付への補助金」といった制度がある。
- 自動ブレーキを搭載した型式は、自動車保険料の割引が適用される場合がある。
人の命を守る、自動車の安全装置。日常的に車を使っている人ほど、しっかりと向き合いたいテーマです。
もしも、日頃運転をしている高齢の家族がいるのなら、一度じっくりと話し合ってみるのもいいかもしれませんね。
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この記事を書いた人 | |
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元金融会社勤めのフリーランスライター/2級FP技能士資格保有 FP資格の知識を生かし、金融全般や家計といったジャンルを中心に執筆活動中。 会社員のときに感じていた「ワーママの毎日に楽しい!を増やしたい」というテーマで、日々情報を発信しています。 |
出典
「高齢運転者の死亡事故について」(経済産業省)
https://www.safety-support-car.go.jp/analysis/
「乗用車等の衝突被害軽減ブレーキに関する国際基準を導入し、新車を対象とした義務付けを行います。~道路運送車両の保安基準の細目を定める告示等の一部改正について~」(国土交通省)
https://www.mlit.go.jp/report/press/jidosha08_hh_003618.html
「乗用車等の衝突被害軽減ブレーキに関する保安基準(概要)」(国土交通省)
https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001326170.pdf
「サポカーポータルサイト「政府の取組」」(経済産業省)
https://www.safety-support-car.go.jp/conference/
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