【初心者向け】老後を楽しみたいなら公的介護保険制度の仕組みを学ぼう

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【初心者向け】老後を楽しみたいなら公的介護保険制度の仕組みを学ぼう

40歳になると支払いが始まる介護保険料。
どんなときに保障されて、いくらくらい受け取れるのか、知っていますか?

高齢社会である日本では、80代前半で約30%、85歳以降で約60%の人が要支援・要介護認定されています。
40代・50代と若いうちは、介護といわれてもピンとこないと思いますが、決して他人事ではありません。

ちなみに、介護保険は申請しなければ保障は受けられません。
せっかく支払っている保険料を有効活用するためには、公的介護制度を理解することが必要です。

そこで本コラムを読んでもらうことで、公的介護保険制度について理解することはもちろん、老後資金を備えるためのヒントがわかります。

公的介護保険制度は「現物給付」が原則

保険と聞くとお金が受け取れると思われることが多いのですが、公的介護保険制度の保障は、お金が受け取れるのではなく「現物給付」になっています。
現物給付とは、かかった費用の1~3割の利用料を支払うことで、介護サービスや介護予防サービスそのものが給付されることです。

図:介護保険サービスの自己負担割合 判定フローチャート

※1 合計所得金額とは、収入金額から必要経費に相当する金額(収入の種類により計算方法が異なります)を控除した金額のことで、扶養控除や医療費控除などの所得控除をする前の金額です。なお、分離譲渡所得に係る特別控除がある場合は、合計所得金額から特別控除額を控除した額を用います。
※2 年金収入には非課税年金(障害年金・遺族年金)は含まれません。
※3 その他の合計所得金額とは、合計所得金額から、年金収入に係る雑所得を除いた金額です。

いくらでも現物給付されるわけではなく、要支援・要介護度別に1か月あたりの支給限度基準額が決められており、超えた分の費用は全額自己負担になります。
ただし、1か月に支払った利用者負担の合計が負担限度額を超えたときは、超えた分が払い戻される「高額介護サービス費」があります。




自分で限度額内に収まるようにサービスを組み合わせるのは難しいので、要支援認定者は地域包括支援センター職員、要介護認定者はケアマネージャーと呼ばれる介護支援専門員がサポートをしてくれます。
具体的には、適切な介護サービスを利用するためにケアプラン(介護サービス計画書)の作成や、サービス事業者と調整などです。
なお、ケアプランを作成する費用は、全額を市区町村が負担します。

表:区分支給限度基準額と自己負担額の目安

区分認定区分区分支給限度基準額自己負担額(1割の場合)
軽い

重い
予防給付
(予防サービス)
要支援15,032単位5,032円
要支援210,531単位1万531円
介護給付
(介護サービス)
要介護116,765単位1万6,765円
要介護219,705単位1万9,705円
要介護327,048単位2万7,048円
要介護430,938単位3万938円
要介護536,217単位3万6,217円
※額は介護報酬の1単位を10円として計算

公的介護保険制度は年齢によって受けられる保障が違う

介護サービスを受ける・介護保険の保障を受ける場合には、要支援・要介護認定が必要です。

65歳以上(第1号被保険者)の場合、原因を問わず条件に該当すれば要支援・要介護認定されます。
しかし、40歳以上65歳未満(第2号被保険者)の場合は、原因が特定疾病による場合に限定されています。

表:特定疾病とは

1.がん(末期)9.脊柱管狭窄症
2.関節リウマチ10.早老症
3.筋萎縮性側索硬化症11.多系統萎縮症
4.後縦靭帯骨化症12.糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症および糖尿病性網膜症
5.骨折を伴う骨粗鬆症13.脳血管疾患
6.初老期における認知症14.閉塞性動脈硬化症
7.進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症およびパーキンソン病15.慢性閉塞性肺疾患
8.脊髄小脳変性症16.両側の膝関節または股関節に著しい変形を伴う変形性関節症

要支援・要介護認定は、認定調査員による調査や主治医の意見書をもとに審査・判定されます。

要支援とは、基本的には一人で生活できる状態ではあるものの、部分的に介助を必要としている状態。
要介護とは、運動機能の低下に加え、思考力や理解力の低下も見られる状態のことです。

では、具体的にどんな状態であれば要支援・要介護認定されるのか目安をみてみましょう。
※心身の状況や生活環境などによって異なるため、一致しないことがあります。

要支援1
排泄や食事はほとんど自分ひとりでできる。
居室の掃除や身の回りの世話の一部に何らかの介助(見守りや手助け)が必要。
立ち上がりや片足での立位保持などの複雑な動作に何らかの支えが必要になることがある。
適切にサービスを利用すれば改善の見込みが高い。

要支援2
排泄や食事はほとんど自分ひとりでできる。
掃除などの身の回りの世話に何らかの介助(見守りや手助け)が必要。
立ち上がなどの複雑な動作や、歩行などの移動の動作に何らかの支えが必要。
適切にサービスを利用すれば改善の見込みが高い。

要介護1
排泄や食事はほとんど自分ひとりでできる。
身だしなみや居室の掃除などの身の回りの世話に何らかの介助(見守りや手助け)が必要。
立ち上がなどの複雑な動作や、歩行などの移動の動作に何らかの支えが必要。
問題行動や理解低下がみられることがある。

要介護2
排泄や食事に何らかの介助(見守りや手助)が必要。
身だしなみや居室の掃除などの身の回りの世話の全般に何らかの介助(見守りや手助け)が必要。
立ち上がりなどの複雑な動作や、歩行などの移動の動作に何らかの支えが必要。
問題行動や理解低下がみられることがある。

要介護3
排泄や掃除などの身の回りの世話、立ちあがりなどの複雑な動作は自分ひとりではできない。
歩行などの移動の動作が自分でできないことがある。
いくつかの問題行動や全般的な理解の低下がみられることがある。

要介護4
排泄や掃除などの身の回りの世話、立ちあがりなどの複雑な動作で介助が必要。
歩行などの移動の動作が自分ではできない。
多くの問題行動や全般的な理解の低下がみられることがある。

要介護5
生活全般について全面的に介助が必要。
多くの問題行動や全般的な理解の低下がみられることがある。


公的介護保険対象の介護サービスと対象外のサービスの違いを覚えておこう

介護サービスであればなんでも公的介護保険の対象になるわけではありません。
公的介護保険は、掃除洗濯などの生活援助に関するサービスや、食事・入浴など身体介護に関するサービスに適用されます。

保険対象で受けられる介護サービスは、認定区分やお住まいの市町村によって異なる可能性があります。
介護サービス利用には、ケアマネージャーや地域包括支援センター職員と作成したケアプラン・介護予防ケアプランが必要になるので、介護サービスを利用したいときは市町村窓口などに相談しましょう。

表:介護保険で利用できる主な介護サービス例

自宅で利用するサービス訪問介護訪問介護員(ホームヘルパー)が、入浴、排泄、食事などの介護や調理、洗濯、掃除などの家事を行うサービスです。
訪問看護自宅で療養生活が送れるよう、看護師が医師の指示のもとで、健康チェック、療養上の世話などを行うサービスです。
福祉用具貸与日常生活や介護に役立つ福祉用具(車いす、ベッドなど)のレンタルができるサービスです。
日帰りで施設等を利用するサービス通所介護
(デイサービス)
食事や入浴などの支援や、心身の機能を維持・向上するための機能訓練、口腔機能向上サービスなどを日帰りで提供します。
通所
リハビリテーション
(デイケア)
施設や病院などにおいて、日常生活の自立を助けるために理学療法士、作業療法士などがリハビリテーションを行い、利用者の心身機能の維持回復を図るサービスです。
宿泊するサービス短期入所
生活介護
(ショートステイ)
施設などに短期間宿泊して、食事や入浴などの支援や、心身の機能を維持・向上するための機能訓練の支援などを行うサービスです。家族の介護負担軽減を図ることができます。
居住系
サービス
特定施設入居者
生活介護
有料老人ホームなどに入居している高齢者が日常生活上の支援や介護サービスを利用できます。
施設系
サービス
特別養護
老人ホーム
常に介護が必要で、自宅では介護が困難な方が入所します。
食事、排泄などの介護を一体的に提供します。
(※原則要介護3以上の方が対象)
小規模多機能型居宅介護利用者の選択に応じて、施設への「通い」を中心に、短期間の「宿泊」や利用者の自宅への「訪問」を組み合わせて日常生活上の支援や機能訓練を行うサービスです。
定期巡回・随時対応型訪問介護看護定期的な巡回や随時通報への対応など、利用者の心身の状況に応じて、24時間365日必要なサービスを必要なタイミングで柔軟に提供するサービスです。訪問介護員だけでなく看護師なども連携しているため、介護と看護の一体的なサービス提供を受けることもできます。

散歩や趣味のための外出・車などによる移送支援や、同居する家族やペットの世話などの家事援助などは対象外のサービスです。
全額自己負担になるものの、介護をする家族の負担の軽減になることや、介護を受ける側の生きがいにもつながります。


介護保険料は40歳から一生涯払い続ける

介護保険料は満40歳に達したときから一生涯徴収され、要支援・要介護の認定を受けても(介護サービスを受けることになっても)払い続けます。

ちなみに満40歳とは、40歳の誕生日の前日のことで、その日が属する月から介護保険の第2号被保険者になります。
たとえば、5月2日生まれの人の場合、第2号被保険者になった日は5月1日なので、5月分から請求されるようになります。

40~64歳の第2号被保険者は健康保険料と一緒に徴収されます

会社員の場合は、健康保険料などと同じように給与から天引きされます。
保険料は会社と折半するので、負担する金額は半額。支払いタイミングは当月分の保険料を翌月の給与から徴収されるのが一般的です。
保険料は標準報酬月額によって算出されますが、都道府県や各健康保険組合によって異なります。

自営業の場合は、国民健康保険料と同時に納付します。
会社員と違って全額自己負担になります。
もし、国民健康保険料を滞納した場合、介護保険料を滞納することにもなるので、将来的に介護サービスを利用できない可能性があります。
うっかり払い忘れた、保険料の納付が難しい場合などは早めに役所に相談するようにしましょう。

65歳以上の第1号被保険者は2種類の支払い方がある

一般的に、誕生月の上旬に介護保険の被保険者証など、翌月の上旬に保険料額決定通知書が送付されます。

介護保険料の支払い方は、年金から差し引きされる「特別徴収」と、納付書での振込または口座振替で支払う「普通徴収」の2種類です。

特別徴収には、世帯主の年金額が年額18万円以上であることなどの要件があります。
特別徴収が基本ですが、年金特別徴収の対象予定者には各自治体などからお知らせが送られるのでしっかり確認しましょう。

公的介護保険制度は定期的に改正される!こまめな見直しがカギ!

公的介護保険制度は3年ごとに見直しされます。
2018年度の改正では制度の持続可能性を高めるため、所得の高い層の負担割合を増やしました。
ほかにも、要支援・要介護状態になることを防ぐためのサービス拡充など、時代に合わせた改正を行っています。

介護者の負担を減らしたい、そのときに希望する介護サービスを利用したいという場合には、公的介護保険制度だけではお金が不足するという可能性も。
民間の介護保険で保障を上乗せすることで、より手厚い保障が得られます。


ここで重要なのが民間介護保険に加入を検討するときはもちろん、加入したあとのこまめな見直しです。
見直しは保険を解約する・新しく契約することだけではありません。
定期的に改正される公的介護保険制度にあわせ、「今の制度にあったものになっているか」、「保障の過不足がないか」を確認することが大切です。

ニッセンライフでは、無料保険相談サービスを行っております。
自分で見直しするのが難しい、今の公的介護保険制度を考慮して民間介護保険の加入を検討したい方はぜひご利用ください。




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この記事を監修した人
伊藤 可菜伊藤 可菜

大手生命保険会社の勤務を経て、2020年にニッセンライフに入社。
FPナビを中心にライフプラン相談などを行っており、丁寧でわかりやすい情報提供を心がけている。
保有資格:2級FP技能士

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