親の介護って子供のお金・時間を捧げるもの?家族で早めに話し合うコツ

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親の介護って子供のお金・時間を捧げるもの?家族で早めに話し合うコツ

もしも親が要介護状態になったら…その後の生活やお金が気になる方も多いですよね。
親の介護を意識しはじめる30~40代は、親と別居している方も多いです。働き盛り、子育て真っ只中という方もいるでしょう。

そこで今回は、親の介護を意識したときに知っておくべき次の情報をまとめました。

  • 介護の義務がある人はだれか
  • 介護にかかるお金の目安
  • 家族で話し合っておくべきこと
  • 早めに家族で話し合うメリット


お金や老後のことは家族で話しにくいものですが、この記事が家族で向き合えるきっかけになるとうれしいです。

※当記事に関する保険以外のお問い合わせは受け付けておりません。また、記事中の法的見解についての責任は一切負いかねます。自治体窓口や弁護士等の専門家にご相談ください。

親の介護は子供の義務なのか

介護をする義務は誰にあるのでしょうか。
ひと昔前は、長男夫婦(主に妻)が介護するのがあたり前という時代もありました。
実は介護を受ける人からみて、祖父母や父母、子供、孫、配偶者、兄弟姉妹に介護の義務があります。

民法でも、

「直系血族及び兄弟姉妹は、互いに扶養をする義務がある」(第八百七十七条)
「夫婦は同居し、互いに協力し、扶助しなければならない」(第七百五十二条)

と定めています。

要介護者の親や配偶者は高齢なことも多いため、「介護は子供がするもの」というのは実情にあっていると言えそうです。

ただしここで重要になるのは、「介護の義務」の中身です。
介護と聞くと、食事や入浴の介助など身体的に補助することをイメージしがちですが、介護に必要なお金を出すという意味合いも含まれます。

つまり「完全に同居して身体的な介護をする」ことも、「仕事があるから介護はしたくない。お金を払って介護のプロに頼る」ことも、介護の義務を果たしていると言えるのです。
ちなみに長男夫婦だけに義務が発生することはありません。子供が複数いるのであれば、兄弟姉妹全員で話し合うことが大切です。

親の介護をするとしたら…みんなが不安に感じるポイント

同居して介護をするにしても、金銭的な援助をするにしても、いざ親の介護を考えると不安に感じる人が多いものです。
不安点は大きく2つ。
育児や仕事と両立できるのかという点と、お金がどれぐらいかかるのかわからないという点です。

介護は育児や仕事と両立できるのか

もし直接介護をすることになれば、どれだけの時間を介護に捧げることになるのでしょうか。
介護の必要度によっては、3回の食事や入浴、排せつの介助が必要となり、ほぼつきっきりの状況になることも考えられます。
体は元気でも、認知症の症状により目が離せないケースもあるでしょう。

この場合は育児や仕事との両立が困難になります。
平成29年度の調査では、介護や看護を理由に離職する人は年間9万9,000人以上いるとわかりました。
フルタイムで働きながら親の介護ができるのか。育児をしながら親の介護ができるのか。不安に感じてしまうのは当然かもしれません。

介護にかかるお金はどれくらい?

遠距離などで現実的に介護ができない場合、介護のプロに頼ることになります。
同居で介護を担っていても、介護にかかる費用は発生するでしょう。
そこで気になるのが、介護にはどれぐらいのお金がかかるのかという点です。

まず介護状態になった時点でまとまったお金が必要となり、さらに毎月継続的にかかるお金があると思っておきましょう。
介護度によって大きく異なりますが、目安となる金額は2つあります。
一つは全国的な平均値。もう一つは所得による自己負担上限額です。

【平均的な介護費用】
一時的な費用(介護用ベッド購入費や住宅改修など):74万円
毎月必要な金額:8.3万円
介護期間:61.1か月(5年1か月)
単純にこれらをかけ合わせれば、約581万円がひとつの目安となります。

【所得による自己負担上限額】
実は介護サービスの利用料には、所得に応じた自己負担上限額があります。
高額介護サービス費といって、それ以上負担した分は申請により返還されるのです。

高額介護サービス費による月額の限度額 (令和3年8月利用分から)

区分負担の上限額(月額)
市町村民税課税世帯課税所得690万円(年収約1,160万円)140,100円
(世帯) 
課税所得380万円(年収約770万円)~課税所得690万円(年収約1,160万円)未満93,000円 
(世帯)
市町村民税~課税所得380万円(年収約770万円)未満44,400円
(世帯)
市町村民税非課税世帯合計所得金額と課税年金収入額の合計が80万円を超える方24,600円
(世帯)
・合計所得金額と課税年金収入額の合計が80万円以下の方
・老齢福祉年金を受給している方
24,600円
(世帯)
15,000円
(個人)
生活保護を受給している方 15,000円
(世帯)

たとえば親の年収が約770万円未満なら、月々44,400円が上限額ということ。ただし高額介護サービス費の対象外になる費用もあるため、実際には上限を超えた出費があることを覚悟しないといけません。老人ホームやグループホームなど、施設に入居するならさらに大きな費用がかかるでしょう。

これら介護の悩みは、どのように解決していけばいいのでしょうか。
次の章で解決策をさぐってみます。

介護の悩み、解決策いろいろ

育児や仕事との両立、そしてお金の悩み。これらはうまく公的制度を使うことで、乗り越えていかなければいけません。
情報をたくさん知ることが大切なので、今すぐ介護の必要がなくても情報収集しておきましょう。

育児や仕事と両立させるために

介護をしながら自分の生活を守るためには、さまざまな制度の活用やメンタルケアが重要となります。
介護の比重が高まるにつれ、物理的に両立が困難になるもの。そのような状況を改善させるために、制度改正が進んできました。

活用できる制度をご紹介します。

制度主な人制度内容
介護休暇仕事と介護を両立したい人・2週間以上の期間にわたり常時介護を必要とする状態にある対象家族の介護や世話をするための休暇
・1年度あたり最大5日(要介護者が2人以上の場合は10日)
・有給か無給かは、会社の規定による
介護休業介護のために仕事を長期で休みたい人・2週間以上の期間にわたり常時介護が必要な対象家族を介護するための休業
・対象家族1人につき、通算93日(3回まで分割して取得可能)
・雇用保険制度から休業前の賃金の67%が「介護休業給付金」として支給される
ダブルケアサポート育児と介護を両立したい人自治体独自の制度として、ダブルケアラーが交流できる場所を提供したり、ピア・サポーターを派遣したりする

介護休暇や介護休業に加え、フレックスタイム制度やテレワーク、時短勤務など、労働者を守る制度があります。介護を理由に離職する人が年に9万9,000人以上いる現状ですが、まずはこれらの制度を使うことで乗り切れないか考えてみましょう。

同時に介護うつという言葉があるように、メンタルのケアも大切です。どのような相談機関があるのかを事前に知っておきましょう。

介護費用の準備で大切なこと

次にお金の悩みについて。
介護にお金がかかるのは事実ですが、前提として介護のお金は親のお金でまかなうのが基本と考えておきましょう。ですので、まずは親がどれほどの費用を準備しているのか確認することが最重要になります。

【親が自分で用意している場合】

  • 費用は父母二人分なのか、平均の目安である494万円は確保できているのかを確認する。足りない場合は次項へ。
  • 万が一寝たきりになったり認知症になったりした場合、だれがその費用を管理するのか話し合っておく。


【用意していない・用意していたけど足りない場合】

  • 今から毎月いくら積み立てるのかを算出する。
  • 貯金のうち介護に回せる費用を確認する。
  • 子供(自分の兄弟姉妹)で出し合うならいくらずつか決める。
  • 健康状態や年齢によっては民間の介護保険に入れるかもしれないので検討する。


話し合うべきは介護のことだけじゃない!


家族で話し合っておくべきなのは、介護のことだけではありません。
老後を迎えると、介護以外にも考えないといけないことがたくさんあるのです。

別居の親なら、いずれ空き家になるリスク

もし実家が空き家になってしまった場合、その家をどうするのかきちんと考える必要があります。
空き家のまま放置してしまえば、次のようなリスクがあることを知っておきましょう。

  • 近隣の敷地内まで草木が伸びる
  • 不法投棄によりいろいろな生き物がすみつくようになる
  • 放火により火災が発生する
  • 不審者が滞在する
  • 屋根や塀などが崩れ、近隣の人にケガをさせたり物を壊したりする
  • 固定資産税が増額する


ご近所から苦情が寄せられるだけでなく、人にケガをさせたり物を壊したりすれば、賠償責任も発生します。
もし危険な状態で放置すれば、固定資産税が増額されることも。
これらの金銭的負担を避けるためにも、家の管理をどうするのかは早めに検討した方がいいのです。
空き家バンク制度なども調べてみましょう。

親のために使うお金が引き出せないトラブル

一定の年齢になれば、認知能力が低下する可能性が出てきます。そうなると、子供でも親の代わりにお金を引き出せないケースも。
せっかく口座にお金があっても、引き出せないなら意味がありません。お金はあるのに子供が費用を立て替えないといけない、そんなリスクは避けたいですよね。

任意後見制度を活用すれば、親に十分な判断能力があるうちに、金銭の管理をする人を指定できます。
早めに話し合うのがいいとわかりつつ、なんとなく話しにくい…そんな場合は、任意後見制度のメリットを強調して話し合いを進めてみるのもひとつです。

「自分で後見人を選出でき、効力が生じるのは実際に判断能力が低下したとき」という任意後見制度は、もっとも大切な親の意向を尊重できるのではないでしょうか。
「法定後見制度(判断能力が不十分となったときに、家庭裁判所が成年後見人等を選任する制度)」に比べれば、親としてもメリットを感じやすいといえます。

第三者がいると安心して話し合える

「お金のことは家族で話しにくいけれど、できるだけ早くに話し合いを始めるべき。」そう思えた方も多いと思います。
あと一歩踏み出しにくいという場合、第三者がいると話しやすいこともあります。

たとえば、税制や年金制度などに詳しいお金の専門家であるファイナンシャル・プランナー(FP)。
介護を含めた老後の資金計画を考える場合は、FPに相談するのがおすすめです。
親と子供同席で相談をしてみてもいいかもしれません。WEB面談(パソコンやスマートフォンなどを使ったオンライン面談)なら、遠距離の兄弟とも通話をつなぐことができます。

親が健康な場合は民間の介護保険に加入できる可能性もあります。
民間介護保険は種類がたくさんあり、給付条件などが保険会社によって異なるため、保険会社や代理店に相談して比較・検討することをおすすめします。

後見制度などが気になる場合は、自治体の無料法律相談や社会福祉協議会で相談してみるのもひとつです。
いずれにしても、家族の話し合いはそれぞれの生活を守るうえで避けて通れないもの。第三者の力を借りつつ、いろいろな可能性をさぐってみましょう。

親の介護で大事なことのまとめ

親の介護や老後の生活について、たくさんの情報をまとめてきました。

ここで大事な点を振り返ってみます。

  • 親の介護は子供の義務。ただし身体的な介護に限らず、金銭的な援助も含む。
  • 親の介護を理由に離職する人は年に10万人近い。一方で介護休暇制度や介護休業制度などがあるため、活用できないか考えることが重要。
  • 介護にかかる費用は平均で約581万円。基本は親のお金でまかなうが、足りない場合はどう準備するのかお金のプロに相談する。
  • 空き家の管理や認知症になった場合のお金の管理方法など、今のうちに話し合っておくべきことはたくさんある

とくに大切なのは、「元気なうちに話し合いをしておく方がメリットも高い」という点です。
認知症になってから、介護が必要になってから、相続が発生してから…。
その時に動くよりも、前もって情報を集め家族みんなで決めておいた方が、金銭的負担やトラブルを避けられます。
どうしても介護やお金の話はしにくいものですが、そんなときは無料の法律相談やFP相談を頼ってみましょう。第三者がいることで、落ち着いて話し合いを進められます。

また、親だけではなく自分も介護が必要になったときに備えることも一緒に考えてみましょう。
お金を貯めるには時間がかかります。
早めに介護資金・保障の準備をしておくことで、介護が必要になったときに受けられるサービスの選択肢が広がることや、対象外のサービスにも活用できるなどのメリットがあります。

民間介護保険などで介護資金・保障を準備したいときは、ニッセンライフにご相談ください。
ニッセンライフは複数の保険会社の商品を取り扱っている保険代理店。
ニーズに合わせた商品の提案や、申込手続きのお手伝いができます。


また、介護資金の貯蓄計画なら、ニッセンライフが運営するFPナビがおすすめ。FPナビは、希望条件に合わせてFPを選ぶことができ、何度でも無料で相談ができますよ。




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この記事を書いた人
太田太田

保険代理店のニッセンライフの一員として保険比較総合サイト「WillNavi」の運営に携わって2年。母親目線で保険のことをわかりやすくお伝えいたします。

出典

「生命保険に関する全国実態調査/2021(令和3)年度」(生命保険文化センター)
https://www.jili.or.jp/files/research/zenkokujittai/pdf/r3/2021honshi_all.pdf

「令和3年8月利用分からの高額介護サービス費の負担限度額が見直されます」(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/content/000334526.pdf

「任意後見制度とは(手続の流れ、費用)」(厚生労働省)
https://guardianship.mhlw.go.jp/personal/type/optional_guardianship/

「平成29年就業構造基本調査」(総務省統計局)
https://www.stat.go.jp/data/shugyou/2017/pdf/kgaiyou.pdf

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