医療保険とがん保険はどう違う?両方入ると重複する?解決策一覧

  • 更新日:

    (公開日:2020/01/09)

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医療保険とがん保険はどう違う?両方入ると重複する?解決策一覧

医療保険とがん保険は、どちらもがんなどの病気に備えるための保険です。

しかし保障の対象や保障内容が大きく違うため、

「両方入ると保障が重複して保険料が高くなる」
「片方しか入らないと、いざという時に役に立たない」

そんなリスクがでてきます。

ここでは医療保険とがん保険の違いや役割を整理し、適切な選び方をまとめてみました。
保障選びに迷っている方は、ぜひ参考にしてください。

※細かな給付条件は保険会社、商品によって定められていますが、本記事では主なものについて解説しています。
※ここで紹介した特徴は一般的なもので、個別の商品ごとに所定の条件が定められています。

⇒2分でわかる!記事のまとめ動画はコチラ!

医療保険とがん保険の違いは保障の対象

医療保険とがん保険の大きな違いは、保障の対象です。
医療保険は病気やケガ全般を対象としているのに対して、がん保険の対象はがんのみ。保障対象が限定されているのです。

一方で、医療保険は入院しないと給付金が受け取れませんが、がん保険には「がんと診断された時点で一時金がもらえる」というタイプがあります。入院しなくても給付金が受け取れるのは、がん保険の大きな特徴といえます。

その他にも下記のような違いがあります。

医療保険がん保険
給付対象病気全般やケガがん(商品によってはその他の特定疾病も含む)
免責期間(保障がされない期間)なし(一部定められている商品あり)あり。多くの場合は契約日から90日間
入院給付金の支払限度日数(1回の入院につき)60日や120日など商品によって制限ありがんによる入院は無制限の場合が多い
入院給付金の支払限度日数(保険期間を通して)1,000日や1,095日など商品によって制限あり原則、がんによる入院は無制限
給付条件「入院したら」「手術したら」など給付金ごとに条件あり「入院したら」「手術したら」「がんと診断されたら」など給付金ごとに条件あり

参考までに、医療保険とがん保険の主な保障をそれぞれまとめてみました。

【医療保険の保障内容】
入院入院をしたとき、「1日につきいくら」「1回につきいくら」と決められた入院給付金を受け取れる
手術所定の手術を受けたとき、入院・外来の別や手術の種類に応じた手術給付金を受け取れる
通院入院の前後に通院した場合、「1日につきいくら」「1回につきいくら」と決められた通院給付金を受け取れる
先進医療所定の先進医療を受けたとき、技術料の実費など決められた給付金を受け取れる
※商品によって異なります。その他商品独自の保障があります。

【がん保険の保障内容】
診断がんと診断されたとき、一時金を受け取れる
入院がん治療を目的とした入院をしたとき、「1日につきいくら」「1回につきいくら」などの入院給付金を受け取れる
手術がん治療を目的として所定の手術を受けたとき、手術給付金を受け取れる
通院がん治療を目的として通院した場合、「1日につきいくら」「1回につきいくら」などの通院給付金を受け取れる。商品によっては入院を伴わない通院も保障される。
先進医療がんの診断や治療で所定の先進医療を受けたとき、技術料の実費など決められた給付金を受け取れる
※商品によって異なります。その他商品独自の保障があります。

がん保険の最大の特徴として「診断一時金」があります。がんと診断確定されれば、治療を行う前であっても「一時金」が受け取れるというものです。
一時金が受け取れる条件は商品によって異なるため、保険を比較するときには大事なポイントになります。

【がん診断一時金が受け取れる条件の例】

  • 初めて悪性新生物と診断されたときに1回限りで給付される
  • 「2年に1回」や「1年に1回」などの限度内で、何度でも給付される
  • 上皮内新生物(じょうひないしんせいぶつ:がん細胞が粘膜の一番上の上皮内に留まり、基底膜を破壊していない状態。転移の可能性は極めて低い。)は保障の対象外
  • 上皮内新生物なら給付金の半分が受け取れる


がん保険の必要性はがん治療の現状からわかる

なぜがんに特化した保険があるのでしょうか。
もちろんがんで入院・手術をした場合でも、医療保険で給付金が受け取れます。
それなのにがんに特化したがん保険があるのは、がん治療の現状に理由があります。

まずはがんの治療にどれぐらいの費用がかかるのか見ていきましょう。

がん治療にかかる費用

「がんの治療にはお金がかかる」というイメージがあるかもしれませんが、治療費はがんの部位やステージ(がんの進行度)によって異なります。

たとえば結腸がんの0期ステージでがん病変を切除する治療を行った場合は

治療費総額約144万6,000円
がん治療費.com https://www.ganchiryohi.com/cost/348 より引用

ですが、同じ結腸がん4期ステージで治療をした場合、

治療費総額約543万5,000円
がん治療費.com https://www.ganchiryohi.com/cost/360 より引用

ステージが違うだけで、治療費の総額は約400万円も変わることがわかります。
ただし治療費がどれだけ高額になっても、高額療養費制度によって月々に支払う自己負担額の上限は決まっています。

たとえば70歳未満で標準報酬月額が28万円~50万円の場合、

80,100円+(医療費-267,000円)×1%

が上限額になります。

保険が適用されるがん治療であれば、1か月の医療費負担は8万円~10万円くらいでおさまるということです。

一方で、がんの治療には保険適用外の費用もかかります。
代表的なものとしては、1人~4人部屋を利用した場合の差額ベッド代。地域や病院によって金額に差はありますが、厚生労働省の統計では1日あたり平均で6,527円です。
がん(悪性新生物)の入院日数は平均で17.1日なので、仮に1日6,000円の部屋に17日入院するとなると、10万2,000円の差額ベッド代がかかります。

さらに食事療養費が1食につき460円かかるので、17日間で2万3,460円(460円×17日間×1日3回)が必要になります。
治療費とは別に、合計125,460円かかる計算です。

治療費以外の費用負担

がんの治療をすると、直接的な治療費以外の費用負担が高まります。
NPO法人がん患者団体支援機構とニッセンライフががん患者に調査したアンケートによると、

「治療のための交通費や、遠方にある病院で治療を行う場合の宿泊費、定期検査費用、健康食品・サプリメント年間)」
だったことがわかりました。

高額療養費など公的な助成が充実しているとはいえ、がんの場合はさらに多くの費用が必要になることがわかります。

「入院の短期化」「再発のリスク」

治療費以外にも、がん保険が必要となる理由があります。
それが「入院の短期化」「通院治療の主流化」「再発のリスク」です。

がんならではの特徴をくわしく見ていきましょう。

悪性新生物の患者の平均在院日数

これは厚生労働者「患者調査」で発表された、悪性新生物の入院日数を表すグラフです。
3年という短い期間ごとの統計なのですが、入院日数が目に見えて急減しているのがわかります。

しかし、がん患者総数が減っているわけではありません。
国立がん研究センターがん情報サービスによると、
「がんの死亡数と罹患数は、人口の高齢化を主な要因として、ともに増加し続けている。」
とされています。

がんの患者数が増えている一方で入院日数は減っていることから、「入院での治療は短期化傾向にある」そして「通院での治療が増えている」といえます。

さらに、がんには再発のリスクがあります。
ほかの部位にも転移して、新たに治療を開始しなければいけない可能性もあるのです。
がんになるとこのようなリスクから「仕事を辞める、休む、転職するなど収入減」となる可能性が高いと言えます。

がん治療のすべてをカバーするのは医療保険よりがん保険

がん治療のすべてをカバーするのは医療保険よりがん保険
「なぜ、がんに特化した保険があるのか」の答えは、「医療保険でがん治療のすべてをカバーするのは難しいから」です。

医療保険だけの保障だと、

  • 通院保障をつけても入院を伴わない通院は対象外になる
  • 再発や長期化により入院給付金の支払限度日数を超えると、保障が消滅する

などの懸念があります。

一方、がん保険の「診断一時金」であれば、がんと診断確定されたときに100万円、200万円などの一時金が受け取れるため、治療費はもちろん治療費以外の費用にあてられます。
入院をしなくても放射線治療や抗がん剤治療を受けた際に治療給付金が受け取れるタイプもあります。

つまりがん保険は、今のがん治療にとてもマッチした保険といえるのです。

医療保険とがん保険の両方に入るべき?保障は重複しない?

医療保険とがん保険の両方に入るべき?保障は重複しない?
「医療保険だけだと不安だし、がん保険にも入ろうかな。」もしくは「がん保険の魅力はわかったけど、ほかの病気も不安だから医療保険にも入りたい。」

そう思った場合、医療保険とがん保険の両方に入るべきなのでしょうか。

ここからは、医療保険とがん保険両方の保障が欲しい場合の解決策を見ていきます。

両方加入するときのメリットデメリット

がん保険と医療保険に両方加入すれば、どちらからも給付金が受け取れます。
たとえばがんで入院すれば、医療保険からもがん保険からも入院給付金が満額受け取れるということ。
がんは治療費以外にもお金がかかるので、給付金が多いと心強いものです。

一方で、その分保険料が高くなるのはデメリットといえます。年齢があがるにつれて保険料も高くなります。
健康やがんについて考えはじめる50代から60代で加入するとなると、2契約分の保険料は負担に感じてしまうかもしれません。

保険料の負担を減らしたい場合、診断一時金だけのがん保険を選ぶのも1つです。
入院や手術の保障がついていなければ医療保険とは重複しません。
医療保険で入院を、がん保険で入院以外の治療をカバーするイメージです。

がん保障を特約でつけるのもアリ

それでも2つの保険に加入することに抵抗がある場合、医療保険にがんの特約をつける方法があります。
放射線治療や抗がん剤治療を受けたときに給付金が出る特約や、がんと診断された時点で一時金が支払われる特約などがあります。

今加入中の医療保険があるなら、がんの特約がつけられるか確認してみてはいかがでしょうか。
もしがん特約がつけられなかった場合、新たにがん特約つきの医療保険に加入するか、今の保険を残したまま新しいがん保険に加入するかが選択肢となります。
保険の変更は思わぬ不利益がでることもあるので、必ず保険のプロに相談しましょう。

⇒ファイナンシャル・プランナーに相談してみる
(外部サイトへ遷移します)


医療保険には入らず貯金でまかなって、高額・長期化しやすいがんだけ保険で備えるというのも一つです。
どんなリスクに不安を感じるか自分なりに考えましょう。

まとめ

「医療保険とがん保険の違いは?」

→がん保険はがんだけを保障。ただし支払日数に限度はなく、がん診断確定時に一時金が受け取れる。

「一方にしか入らない場合、保障が足りない?」

→医療保険だけではがん治療をカバーしきれない。がん保険だけだと他の病気が保障されない。

「両方に加入した場合、保障が重複してもったいない?」

→それぞれから満額が受け取れるのでムダにはならない。保険料が気になる場合は医療保険にがんの特約をプラスすることも可能。


医療保険とがん保険はそれぞれ目的があります。

すべてのリスクに備えて保険に入る必要はありませんが、いざというときに支えてくれる保険があれば心強いものです。貯蓄では難しいなと思うリスクがあれば、一度がん保険を検討してみましょう。

自分に合う保険がわからない場合は、保険のプロに相談しましょう。
ニッセンライフなら複数の保険会社商品を取り扱っているので、1回のご相談でも幅広く検討いただけます。さらに電話相談やオンライン相談など、お客さまのニーズに合わせて選べる相談方法をご用意しました。
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この記事を書いた人
太田太田

保険代理店のニッセンライフの一員として保険比較総合サイト「WillNavi」の運営に携わって2年。母親目線で保険のことをわかりやすくお伝えいたします。

出典

「主な選定療養に係る報告状況」(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/000853121.pdf

「入院時食事療養費」(全国健康保険協会(協会けんぽ))
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g3/cat320/sb3170/sbb31702/1951-254/

「がん治療費.com」
https://www.ganchiryohi.com/

「がん情報サービス」(国立がん研究センター)
https://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/stat/annual.html

「患者調査」(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/10-20.html

「がん患者アンケート」
https://www.nissen-life.co.jp/willnavi/enquete/enquete_gan02.html

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