精神疾患でも保険に入れる?精神疾患と保険の仕組み

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精神疾患でも保険に入れる?精神疾患と保険の仕組み

精神疾患はがんや心臓病などと同様、対策をしていても唐突にかかる可能性がある病気です。

また、精神疾患の方は生命保険の加入が厳しいという話を聞いたことがある人も多いはず。

今回は、気になる精神疾患と保険の関係について調べてみました。


精神疾患のリスク


昨今はストレス社会などと呼ばれ、精神疾患の患者数の増加はもはや社会問題ともいえます。精神疾患を患うリスクというものも、もはや他人事ではいられません。

・精神疾患患者数の推移


精神疾患により医療機関にかかる患者数はとても多く、とくにうつ病、統合失調症、不安障害、認知症などには多くの患者がいます。
2017年には日本で約419万人が精神疾患の患者となっており、年々増加傾向にあります。

精神疾患を有する総患者数の推移(疾病別内訳)
※H23年の調査では宮城県の一部と福島県を除いています

・精神疾患になってしまうと

・就業不能の負担

まず真っ先に思いつくのが仕事の問題なのではないでしょうか。
精神疾患は長期の治療を必要とする場合があります。
十分な休息をとるため、休職や退職の必要が出てくるかもしれません。

実際に、平成30年の全国健康保険協会の調査では、傷病手当金の受給の原因となった傷病は、精神疾患がもっとも多い29.09%となっています。
傷病手当金とは、病気やケガで働けなくなった場合に、療養中の生活保障として一定の金額が受け取れる制度のことです。

・経済的負担

また、経済的な負担が生じる可能性もあり、治療のために診察代や薬代が必要になる一方で、休職・退職により収入は減ってしまいます。
治療が長引けば長引くほど、このような経済的に厳しい状態が長く続いてしまうことになります。

・再発のリスク

再発の危険性というのもあるでしょう。たとえば、うつ病は再発しやすいといわれており、回復したと診断されても一定期間は経過を見る必要があります。

精神疾患と保険の関係

・精神疾患になると保険に加入するのが難しくなる

上記のように、精神疾患になってしまうとさまざまな経済的負担が生じてしまいます。
その一方で、一度精神疾患と診断されると保険に加入するのが難しいといわれています。

・保険の仕組み

保険は、「相互扶助」の仕組みによって成り立っています。
つまり、「みんなでお金を出し合って万が一の時はお互いに助け合おう」という仕組みです。
たとえば、すでに病気になっている人やこれからなりそうな人、高齢の人などが無条件で加入できると、保険金を受け取れるケースが多くなってしまいます。
なので、保険に加入するときには告知を行うことで、加入者間の公平性を保っているのです。

・保険の告知義務

このように、生命保険では、契約申し込みの際、自分の健康状態や職業について告知する必要があります。
一般的な健康状態の告知内容は、過去に病気をしたことがあるか、最近入院や手術を受けたことがあるかなどが問われます。

告知の形式は、告知書の記入のみのものや、健康診断書の提出が必要なもの、面接士や医師との面談が必要なものなどさまざまです。
正しく告知をしなければ告知義務違反となり、契約を解除されてしまうケースもあります。

精神疾患でも入れる可能性がある保険


・引受基準緩和型

保険に加入するときの引受基準を一般の保険よりもゆるく設定しており、健康状態に関する告知項目が少なくなっています。
そのため、精神疾患含め、健康に不安がある方でも入りやすくなっている保険です。

一般的な生命保険の健康告知項目が5~7項目程度である一方、引受基準緩和型の告知項目は2~4項目程度となっています。
注意点として、加入しやすいかわりに、一般の生命保険と比較すると保険料が割高であるなどの条件がついています。

緩和型保険の告知項目の例

  1. 過去3カ月以内に医師から入院・手術を勧められていますか?
  2. 過去2年以内に入院・手術をしていますか?
  3. 過去5年以内にがんまたは肝硬変で治療を受けていますか?

・無選択型保険

健康告知がいらないので、直近で入院・手術の経験がある方でも検討しやすい保険です。
引受基準緩和型よりも加入しやすいですが、その分保険料も引受基準緩和型よりもさらに割高になっています。
さらに、医療保険の場合一定期間、すでにかかっている病気やケガについては保障しないという条件がついているので、持病以外の病気やケガに備えるための保険になります。
無選択型保険を検討する際は、最後の手段としてとらえておきましょう。

保険を検討する場合の注意点



精神疾患に備えて保険を検討する際は次の点に注意しましょう。

・定期型と終身型

保険には、定期型終身型という二つのタイプがあります。
定期保険は保障期間が一定期間になっている保険で、保険料は年齢に応じて高くなります。

終身保険は一生涯の保障が受けられ、保険料も生涯変わりません。

定期保険は満期になると、更新しない限り保障がなくなってしまいます。
満期になるタイミングで、新しく保険に加入しようとすると、再度健康告知が必要なため、精神疾患やほかの病気になっていると、新たに保険に加入できない場合があります。

保険を検討する際は定期型・終身型についても確認しておきましょう。

・その他の支援制度

・民間の就業不能保険

就業不能保険は、長期間働くことができなくなり、収入が減ってしまった・得られなくなってしまった場合に備えて個人で加入する保険です。
精神疾患による就業不能は適用条件から除外されている場合が多いのですが、一部の保険では適用可能となっています。
その場合、単独では契約できない、特定の疾病、入院日数などの条件があるので、就業不能保険で精神疾患にも備えたいという方は加入する前に確認しておきましょう。

・公的制度

精神疾患の治療はさまざまな公的制度によってサポートされます。
保険を検討する際は、これらの公的制度についても十分に考慮したうえで検討しましょう。

・傷病手当金

働くことが難しくなってしまったという方向けに、健康保険では傷病手当金という制度があります。
傷病手当金は企業が加入している健康保険の被保険者であれば受給できる場合があるのですが、国民健康保険には傷病手当金がなく、自営業の方などは受け取ることができません。

・自立支援医療制度

精神的・身体的な障害の治療について、国が医療費の一部分を負担してくれる制度です。特に、精神疾患については薬代やデイケアの通院費を負担してくれます。

・障害年金

生まれつき障害のある方や、事故により障害を負った方だけでなく、病気やケガが原因で生活に不自由が生じてしまった場合、現役世代の方でも受け取ることができる年金です。
そのため、精神疾患の方でも受け取り可能な場合があります。
ただし、受け取るには年金の納付状況などについて条件が設けられているので注意しましょう。

・障害基礎年金

障害・生活が不自由になってしまった原因となった病気やケガではじめて医者にかかった日(初診日)に加入していた年金が国民年金だった場合、または初診日に20歳前、あるいは60歳以上65歳未満だった場合、障害基礎年金を申請できます。
障害基礎年金を受給するのに障害等級1級・2級(障害者手帳の等級ではない)に該当し、保険料納付についての条件を満たしている必要があります。

・障害厚生年金

初診日に厚生年金に加入していた場合、障害厚生年金に申請できます。
障害基礎年金の1級・2級に該当する場合は障害基礎年金に加えて障害厚生年金が、それより軽い程度の場合は3級として障害厚生年金が受給できます。
また、初診日から5年以内に病気やケガが治り、3級よりも軽い障害が残った場合は障害手当金(一時金)を受給できます。
障害厚生年金・障害手当金ともに、障害基礎年金と同様保険料納付についての条件があります。

・高額療養費制度

一か月(1日から末日まで)の間に入院、手術などでかかった医療費が高額になり一定額(自己負担限度額)を超えた時、超えた分の金額を受け取れる制度です。
たとえば、70歳未満の人で月額報酬が28万~50万円の人の場合、自己負担限度額は約8万~9万円なので、それ以上の医療費がかかった場合は超過分が払い戻されます。
ただし、差額ベッド代など、高額療養費制度の対象外となる費用もあるので注意しましょう。

これらの各種制度にはさまざまな条件があるので、利用する場合は以下のサイトなどで事前にしっかりと確認しましょう。

厚生労働省『自立支援医療制度』
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushikaigo/shougaishahukushi/jiritsu/index.html
日本年金機構『障害年金』
https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/shougainenkin/jukyu-yoken/20150401-01.html
厚生労働省『高額療養費制度を利用される皆様へ』
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryouhoken/juuyou/kougakuiryou/index.html

まとめ

精神疾患になってしまうと一般に保険の加入は難しくなってしまいますが、引受基準緩和型保険や無選択型保険には加入できる場合があります。

しかし、それらの保険は保険料が割高になっています。
病気やケガをしてしまうと選べる商品の幅が狭くなることも考えられるため、医療保険に入ろうか迷っている人は、なるべく早めに保険に入っておくのをオススメします。

また、保険に加入するときは公的制度について十分に調べたうえで検討しましょう。

 ⇒引受基準緩和型/無選択型保険の一覧、詳細はこちら

 

 ⇒持病があっても入れる可能性のある保険をお探しの方はこちら

 

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出典


「精神疾患による患者数」(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/kokoro/speciality/data.html

「現金給付受給者状況調査(平成30年度)第一部 傷病手当金」(全国健康保険協会)
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g7/cat740/sb7200/sbb7206/2019082102/

「自立支援医療」(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/shougaishahukushi/jiritsu/index.html

「障害年金」(日本年金機構)
https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/shougainenkin/jukyu-yoken/20150401-01.html

「高額療養費制度を利用される皆さまへ」(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryouhoken/juuyou/kougakuiryou/index.html

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