シニアライフを楽しむために考えておきたい3つのリスク

  • 公開日:
  • line
  • はてなブックマーク
シニアライフを楽しむために考えておきたい3つのリスク

子育てが落ち着き、定年退職を迎えたあとのシニアライフでは、自分自身のやりたいことを楽しみたいものです。

シニアライフを楽しむためには、老後のリスクに備える必要があります。
老後生活に存在するリスクの対処が疎かだと、金銭的な不安を抱えてしまうかもしれません。

本記事では、シニアライフにおけるリスクである「介護リスク」「病気やケガのリスク」「収入が減少するリスク」の内容や対策を解説します。

1.老後に介護状態となるリスク


高齢になると、寝たきりや認知症などが原因で介護が必要となる場合があります。
介護状態になると、移動や衣服の着脱、トイレなどに他人の介助が必要です。
配偶者や子どもなどがすべての介助を担当すると、肉体的にも精神的にも大きな負担となります。

介護状態になると、介助の負担を軽減するために、費用をかけて自宅をバリアフリーに改装したり、訪問介護や訪問入浴を利用したりするのが一般的です。
介護レベルが高いと、施設へ入居するケースもあります。

訪問介護や訪問入浴を利用したり、施設に入居したりすると継続的に費用が発生します。
介護期間が長くなるほど、金銭的な負担は膨れ上がっていくでしょう。

介護が必要な期間は、平均寿命から健康寿命を引くと推測できます。

平均寿命は、0歳時点であと何年生きられるのかを表しているのに対し、健康寿命は、健康上の問題がなく、日常生活に制限のない期間です。
平均寿命と健康寿命の差は、日常生活が制限されている期間(=介護が必要な期間)と考えられます。

厚生労働省の調査によると、平成28年における平均寿命と健康寿命の差は、男性8.84歳、女性12.35歳でした。
老後生活では、介護期間が10年前後となる可能性があるのです。

公的介護保険の給付内容

日本では、40歳以上の人に対して公的介護保険への加入が義務付けられています。
公的介護保険の被保険者が、寝たきりや認知症などで「要介護状態」や「要支援状態」に認定されると、さまざまな介護サービスを一定の自己負担で利用が可能です。

要介護状態に認定されると、訪問介護や訪問入浴、訪問看護などを1〜3割の自己負担で利用が可能です。
介護施設(介護老人保健施設・特別養護老人ホーム)に入居して、介護サービスを受けられる場合もあります。

他にも、福祉用具(介護ベッド・車イス)のレンタルや住宅改修費用の助成なども利用でき、介護が必要となったときに発生するさまざまな金銭的負担の軽減が可能です。

「要支援状態」に認定された場合は、介護予防サービスを利用して介護状態の進行を防げます。
ただし要介護認定とは異なり、介護施設への入居はできません。

介護リスクに備える方法

介護リスクに備えるためには、健康に気をつけた生活習慣を心がけて、介護が必要となる状態を遅らせることが大切です。
しかしながら、どれだけ健康に気をつけても、介護になるリスクを0%にはできません。

加えて公的介護保険を利用しても、1〜3割の自己負担が発生するだけでなく、介護レベルに応じて給付上限額も設けられており超過した金額は全額自己負担です。

生命保険文化センターの調査によると、介護の初期費用と毎月の介護費用それぞれの平均は、以下のとおりです。

初期費用69万円
月々の費用7.8万円

介護状態になった場合の金銭的な負担に備えるために、民間介護保険や認知症保険などに加入するのも方法の1つです。
民間介護保険所定の介護が必要な状態となった場合に保険金が支払われる
認知症保険所定の認知症と診断された場合に保険金が支払われる

民間介護保険や認知症保険は、保険金を一時金または年金で受け取れます。

住宅の改修費用や福祉用具の購入費用などの初期費用に備えたい場合は、一時金タイプを選ぶと良いでしょう。
介護サービス利用時の自己負担分やおむつ代、食事代などの継続的な支出に備える場合は、年金タイプが適しています。

民間介護保険の保険金の支払要件は、公的介護保険の要介護認定と連動している場合と、保険会社独自で定めている場合があります。

認知症保険は、要介護状態に認定されなくても、認知症と診断された場合に保険金が支払われるのが一般的です。中には、認知症の前段階である軽度認知障害(MCI)でも保険金を受け取れる商品もあります。

2.老後生活で病気やケガになるリスク


高齢になると身体機能が低下し、病気やケガになりやすくなるため、病院やクリニックなどの医療機関を受診する頻度が増えるのが一般的です。しかし老後生活でも引き続き、公的医療保険に加入するため、医療費自己負担はある程度軽減されます。

たとえば、医療機関で医者から治療を受けた場合、支払い窓口に健康保険証を提示すると、医療費の自己負担は3割負担となります。
所得によっては、70〜74歳までは2割負担、75歳以上は1割負担で済むのです。

また公的医療保険に加入している人は、同じ月(1日〜月末)の医療費自己負担が高額になった場合「高額療養費制度」を利用すると、一定金額が払い戻しされます。

一方で、入院したときに自分の意思で個室を選んだ場合の差額ベッド代は、すべて自己負担です。
他にも入院時の食事代や、「陽子線治療」「重粒子線治療」などの先進医療を受けた場合の技術料も、全額自己負担となります。

生命保険文化センターの調査によると、60歳代が入院時に自己負担した金額の平均は、約20.6万円でした。
また自己負担額が100万円を超えた人の割合は、約2.3%です。
たとえ高額療養費制度を利用しても、医療費の自己負担が高額になるケースはあるのです。

病気やケガになるリスクも、介護のリスクと同様に健康的な生活を意識することで、ある程度は予防できますが、完全には避けられません。
少しでも安心したシニアライフを送るためには、病気やケガになったときの金銭的な負担に対策をしておく必要があります。

病気やケガのリスクの対処法

病気やケガでの金銭的な負担には、貯蓄で備えられます。
しかし病気やケガになったことで、貯蓄が減ってしまうと「楽しみにしていた旅行にいけなくなった」「孫に進学資金を援助できなくなった」などの事態が発生するかもしれません。

そこで民間医療保険やがん保険、傷害保険などに加入し、病気やケガのリスクに備える方法があります。

民間医療保険は、病気やケガで入院・手術をした場合に給付金を受け取れる保険です。
所定のがんと診断された場合に給付金を受け取れる「がん特約」や、先進医療を受けた場合の技術料を保障する「先進医療特約」などを付帯して、保障を手厚くできます。

持病を抱えている人や過去に大病を患った経験がある人は、告知項目が限定された「引受基準緩和型医療保険」に加入するのも方法の1つです。

がんに重点的に備えたい方は、がん保険への加入を検討しましょう。
がん保険に加入すると、がんと診断されたときや、所定のがん治療(抗がん剤治療・放射線治療など)を受けた場合などに給付金が受け取れます。

民間医療保険とがん保険は、加入したときの保障が一生涯続く「終身型」と、保障が10年や20年などの一定期間である「定期型」の2種類があります。
病気やケガに出来るだけ長く備えたい方は、保険料が一生涯変わらない終身型を選ぶと良いでしょう。

傷害保険は、ケガで入院・通院した場合や後遺障害を負った場合などに保険金を受け取れます。
年齢を問わず保険料が一律で、加入時に健康状態の告知が不要であるため、保険料負担を抑えたい方や、健康状態が不安な人は傷害保険を検討すると良いでしょう。

3.収入が減少して老後生活が苦しくなるリスク


退職を迎え老後生活に入ると、収入のほとんどが年金となるため、多くの場合で世帯収入は減少します。

総務省の調査によると、高齢夫婦無職世帯における収入のうち可処分所得は約20.6万円でした。
一方、老後生活の消費支出は約24万円であり、毎月約3.3万円の赤字となります。

仮に老後生活を20年とした場合は約790万円、30年であった場合は約1,190万円の金融資産を取り崩さなければなりません。
生活費や居住費などの支出が収入を上回る恐れがある場合、老後資金を準備しておく必要があります。

ゆとりある老後生活を送るためには、想定される老後の生活費や、受給予定の年金額と退職金額を確認し、不足分を計画的に積み立てることが大切です。

老後資金の積立方法には「財形貯蓄年金」「個人年金保険」「iDeCo(個人型確定拠出年金)」などさまざまな種類があります。
それぞれリスクやリターンが異なるため、特徴を理解し、ご自身にとって最適な方法で老後資金を準備しましょう。

シニアライフを楽しみたい人はFPに相談を


シニアライフを楽しむためには、介護状態や病気・ケガ、収入減少などのリスクに、貯蓄や保険への加入などで備えることが大切です。

それぞれのリスクにどのように備えるかは、個人の考えやライフプランによって異なります。自分自身がどのリスクに重点的に備えるべきか分からない方は、ファイナンシャル・プランナーに相談してみてはいかがでしょうか。

ニッセンライフなら保険相談無料!

【お問い合わせ先】

通話・相談無料
{{nlifeTel.num}}
  • 【受付時間】
  • (平日)9:00~19:00 
  • (土)9:00~18:00 
  • 日曜は休み
この記事を書いた人
品木彰品木彰

保険、不動産、住宅ローンなどの記事を執筆するフリーランスライター。大手生命保険会社、人材会社の勤務を経て2019年1月にして独立。記名記事多数。
保有資格:2級FP技能士

出典

「現在の健康づくりの取組と今後の施策について」(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/content/12600000/000596649.pdf

「平成30年度 生命保険に関する全国実態調査」(生命保険文化センター)
https://www.jili.or.jp/research/report/pdf/h30zenkoku/2018honshi_all.pdf

「令和元年度 生活保障に関する調査」(生命保険文化センター)
https://www.jili.or.jp/research/report/chousa_r1st_1.html

「家計調査年報(家計収支編)2019年(令和元年)Ⅱ」(総務省)
https://www.stat.go.jp/data/kakei/2019np/gaikyo/pdf/gk02.pdf

掲載内容は執筆時点の情報であり、変更される場合があります。
出典に記載されているURLは、執筆時のリンク情報のため、アクセス時に該当ページが存在しない場合があります。

  • line
  • はてなブックマーク