乳幼児や子供の入院って本当に少ない?入院する傷病にはどんなものがある?

乳幼児や子供の入院は少ないと思いがちですが、実際のところどうなのでしょう。どのような病気・ケガでの入院が多いのでしょう? また、乳幼児・子供には手厚い医療費助成があるので、医療保障は不要といわれることも多いですが、本当にそうでしょうか?
乳幼児や子供の入院は少ない?
図表1は厚生労働省「患者調査(2017年)」のうち、年齢別にみた入院数(人口10万対)です。これを見ると、乳幼児や子供の入院は、高齢者など他の年代に比べて少ないことがわかります。ただし、0歳についてはぐんと多くなっており、さらに1~4歳もやや多めです。
では、乳幼児や子供はどのような病気やケガで入院しているのでしょうか。0~14歳の区切りですが、この年代の入院で多いものを10位まで整理したものが図表2です。こちらも厚生労働省「患者調査(2017年)」のデータです。
これを見ると、1位は「周産期に発生した病態」(妊娠及び分娩の合併症による影響など)で、2位が「呼吸器系の疾患」(喘息、肺炎など)、3位「先天奇形、変形及び染色体異常」、4位「神経系の疾患」、5位「新生物<腫瘍>」と続きます。
5位の新生物には、悪性だけでなく良性も含まれます。6位は「損傷、中毒及びその他の外因の影響」で、乳幼児の誤飲や幼児・子供のケガも多いことがわかります。次いで、7位には「精神及び行動の障害」も入っています。さらに、8位「筋骨格系及び結合組織の疾患」、9位「消化器系の疾患」、10位「腎尿路生殖器系の疾患」となっています。
図表2 0~14歳が入院する原因で多いのは?(入院の場合) | |||
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順位 | 分類 | 例 | 人数 (千人) |
1位 | 周産期に発生した病態 | 妊娠及び分娩の合併症による影響など | 7.0 |
2位 | 呼吸器系の疾患 | 急性気管支炎及び急性細気管支炎、喘息、肺炎など | 4.3 |
3位 | 先天奇形、変形及び染色体異常 | 3.0 | |
4位 | 神経系の疾患 | 2.1 | |
5位 | 新生物<腫瘍> | 悪性新生物、良性新生物 | 1.7 |
6位 | 損傷、中毒及びその他の外因の影響 | 中毒、骨折など | 1.6 |
7位 | 精神及び行動の障害 | 神経症性障害、精神及び行動の障害など | 1.2 |
8位 | 筋骨格系及び結合組織の疾患 | 筋骨格系及び結合組織の疾患など | 1.1 |
9位 | 消化器系の疾患 | 歯及び歯の支持組織の障害など | 0.9 |
10位 | 腎尿路生殖器系の疾患 | 糸球体疾患,腎尿細管間質性疾患及び腎不全など | 0.7 |
乳幼児や子供には手厚い医療費助成がある
乳幼児や子供には、「乳幼児医療費助成」「子ども医療費助成」という、自治体が通院・入院費を「助成」するしくみがあります。自治体によって内容は異なりますが、小学校卒業年度まで、あるいは、中学卒業年度までの医療費を補助する自治体が多いようです。中には、高校卒業年度までや、20歳年度末まで、22歳年度末までという自治体もあります。
助成の対象となるのは、公的な医療保険の対象となる治療費や薬代で、自治体によって、通院・入院ともに助成対象であるところや、通院のみ、入院のみ対象、などと限定している場合もあります。また、利用する際に一部、自己負担がある自治体や、保護者に所得制限を設けている自治体などさまざまです。
助成を利用する方法としては、通常、事前に自治体窓口で医療証(マル乳医療証・マル子医療証)を受取り、それを病院で提示することで助成が受けられるケースが多いようです。子供の医療費を病院にいったん支払って、あとから清算する形で助成する自治体もあります。
内容も助成の方法なども、詳細は自治体で異なるので、住んでいる自治体で確認することが大事です。
乳幼児や子供に医療保障は不要?
前述のように、乳幼児や子供には医療費助成が充実しているので、子供の医療保障は不要と考えて大丈夫でしょうか?よく言われるように、医療費助成が切れる頃に医療保障をカバーすればいいのでしょうか。
本当に子供の医療保障が不要かどうか、次の3点をチェックして、「わが家の場合」を考えてみてください。図表1のデータで、0歳や1~4歳の入院がやや多めであったことも参考に考えてみましょう。
- 先天的な病気が見つかった場合、大きくなっても医療保険に入れないこともあります。しかも、生まれてすぐ病気が見つかるケースばかりではなく、数年後にわかることもあります。そうしたリスクには備えなくても問題ないでしょうか?
- 子供の入院や通院は、つきそう親にとってもリスクになります。こども病院(小児専門病院)などが近くにないと、通院するだけでも費用がかかります。入院時には近くのホテルに泊まり込むことも。子供の医療保障はそうした費用を補うこともできます。それでも医療保障はなくてよいでしょうか?
- 医療費助成の内容もしっかり確認しないと、自治体によっては通院だけで入院は対象外だったり、所得制限があってわが家は対象外というケースもあります。住んでいる自治体の医療費助成の内容を確認して問題はなかったでしょうか?
「わが家の場合」で考えた結果、「必要」だと判断したとき、子供の医療保障はどれくらい付ければいいのでしょう。正解があるわけではありませんが、日額5,000円程度を付けておくといいのではないでしょうか。
医療保険は終身型と定期型で選べます。年齢が高いと保険料が高くなりがちな終身型であっても、年齢が低ければ保険料を抑えて加入できます。万が一、先天的な病気が発症しその後医療保険に入れなかったときには、その発症前に加入した医療保険が大きな支えになるかもしれません。
⇒医療保険の一覧、詳細はこちら
子供の医療保険、申込時の注意点
ニーズを感じて、子供を医療保険に加入させる際には、次のような注意点があることも知っておきましょう。これらの内容は保険会社で異なる場合もあります。
- 申込むときは親権者の「同意」が必要です。
- 本来は、保険の申込書や意向確認書、告知書等は自分で書かなくてはいけませんが、おおむね15歳未満は親の「代筆」が可能
- 未成年であっても、募集人による面接が必要
(ネットなど非対面の募集の場合は不要)
親権者の同意が得られない場合は、子供は保険に入ることができませんし、特にコンサルティングセールスの場合は、セールスの人に子供と会ってもらう必要があります。しかし、ネットでの契約の場合は面談が不要です。
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まとめ
乳幼児や子供の入院は、データで見ると0歳や1~4歳の時に多いのがわかります。また、0~14歳の子供が入院する原因を見ても、「周産期に発生した病態」「先天奇形、変形及び染色体異常」が上位にあることから、先天性のあるものが多いことが推測できます。子供には「医療費助成制度」はあるものの、だからといって誰もが医療保障が不要という判断はできません。「わが家」ではどうか、しっかり検討してみましょう。
なお、子供の医療保障は申込時に注意点があることも押さえておきましょう。
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この記事を書いた人 | |
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![]() | 豊田眞弓(ファイナンシャル・プランナー) |
ファイナンシャルプランナー、住宅ローンアドバイザー、終活アドバイザー。FPラウンジ代表。日経マネー等のライターを経て94年より独立系FP。 |
出典
「2017年患者調査」(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kanja/17/index.html
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