雪災とは?火災保険で補償される事例や保険金請求方法を解説

「雪がよく降るエリアで暮らすときは何に気をつけたら良いのだろうか」
「豪雪地帯に引っ越す予定なのだが火災保険には加入した方が良いのだろうか」
と考えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
豪雪地帯では、雪によって家屋や設備が損害を受けるリスクがあります。豪雪地帯に住む方は、火災保険で雪による損害がカバーできているか確認することが大切です。
本記事では、雪災の内容や火災保険の補償対象となる事例、保険金の請求方法などをわかりやすく解説します。
雪災とは?読み方や被害例を解説
雪災(せつさい)とは、大雪や豪雪、雪崩が原因で生じる災害のことです。
雪が多く降る地域では、雪の重みで家屋やカーポートが倒壊することがあります。また大雪によって、給湯器や室外機などが故障するケースは少なくありません。
「雪下ろし中に屋根から落下して骨折した」「路面が凍結していたため車の操作が利かなくなって事故をした」など、建物だけでなく人や車が雪によって損害を負うこともあります。
ただし融雪水の漏入や凍結、融雪洪水(こうずい)、除雪作業による事故は、雪災に該当しません。
火災保険は「風災・雹災(ひょうさい)雪災」も補償対象
火災保険とは、建物や家財(家具・家電など)が、火災や落雷、爆発などで負った損害を補償する保険です。
火災保険は、火災だけでなく風災や水災、雪災なども補償の対象です。大雪や豪雪、雪崩などで生じた損害は、火災保険の「雪災補償」で補償されます。
2021年9月現在、火災保険はパッケージ型が主流であり、保険会社が用意する補償の組み合わせから1つを選んで加入します。どのパッケージを選んでも「風災・雹(ひょう)災・雪災」は、補償されるのが一般的です。
パッケージの内容や選択できる補償は、保険会社によって異なります。火災保険に加入する際は、契約前に補償内容を確認することが大切です。すでに火災保険に加入している方は、保険証券をはじめとした書類で、補償内容を確認してみましょう。
火災保険の補償対象
火災保険は、建物と家財、あるいはその両方を補償の対象にできます。
建物と家財は、それぞれ以下を指します。
建物 |
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家財 |
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トイレやシステムキッチンなど、室中にあるもののうち動かせいないものも、建物に含まれます。また家財のうち貴金属や宝石、骨董品など、1個または1組の価額が30万円を超えるものは、火災保険の加入時に申込書に明記することで保険の対象にできます。※
※保険会社によっては、家財のうち1個または1組の価額が30万円超の場合でも明記不要の場合があります。
戸建て住宅やマンションなど持ち家に住んでいる方は、建物の補償を中心に火災保険に加入するのが一般的です。多くの場合、建物の損害を補償する火災保険の加入が、住宅ローンの融資条件に含まれているためです。
賃貸マンションの場合、建物部分の損害は大家さんが加入する火災保険でカバーされるため、居住者は家財を保険の対象にして火災保険に加入します。
雪災で火災保険の保険金が支払われるケース

では、どのようなケースで火災保険の保険金が支払われるのでしょうか?
ここでは、雪災によって保険金が支払われるケースと、支払われないケースをそれぞれ解説していきます。
火災保険の保険金が支払われる事例
雪災で火災保険の補償が適用される事例は、以下のとおりです。
雪災補償が適用される例
- 雪の重みで建物の屋根が変形した
- 雪の圧力で窓ガラスが割れた
- 近くの山で起きた雪崩に巻き込まれて建物や家財が被害に遭った
- カーポートが雪の重さで壊れた など
このように火災保険では、雪によって建物や家財に生じた損害を幅広く補償されます。
ただし保険の対象が建物または家財のどちらか一方のみである場合、保険の対象でないほうに損害が生じても補償されません。たとえば保険の対象が家財のみである場合、雪の圧力で窓ガラスが割れても、加入している火災保険の保険金は支払われないのです。
火災保険の補償が受けられない事例
一方で、以下のケースでは雪災補償が適用されません。
雪災補償が適用されない例
- 自然または摩耗で劣化した場合
- 屋根の雪下ろし中に屋根から落下し隣家の窓を壊した
- 雪解けによる洪水や地すべりで住宅に被害が生じた
- カーポートの屋根が落ちて車のフロントガラスが割れた など
隣の家に損害を与えた場合、隣の家の住人が加入する火災保険で補償されます。
なお隣の家に損害を与えても、自然災害が原因の場合は、よほどの過失がない限り隣家から損害賠償を請求されることはありません。
雪解け水による洪水は、雪災補償ではなく「水災補償」で補償されます。火災保険に加入する際、保険料を抑えるために水災補償を外す人は少なくありません。雪に対する備えを手厚くしたいのであれば、火災保険に水災補償を付帯すると安心でしょう。
カーポートの屋根が落ちて車のフロントガラスが割れた場合、加入している自動車保険に車両保険が付帯されていれば保険金が支払われる可能性があります。
この他にも雪災のうち、補償の対象外となるケースがあります。火災保険に加入する際は補償の範囲や補償が適用されないケースなどを必ず確認しましょう。
火災保険金の補償額と請求方法
火災保険は、実損払方式で保険金が支払われるため、契約時に設定した保険金額がそのまま支払われるわけではありません。建物や家財が損害を負ったときに、契約時に定めた保険金額を上限に、以下の計算式で求められる損害保険金が支払われます。
損害保険金の計算式
- 損害保険金=損害額-免責金額(自己負担額)
免責金額とは、契約時に決めた自己負担金額のことです。免責金額を高く設定するほど自己負担額は増えますが、支払う保険料は割安になります。
火災保険金の請求方法
火災保険の保険金を請求する際の流れは、以下のとおりです。火災保険金の請求方法
- 保険会社に連絡する
- 保険会社から送られてくる書類に必要事項を記入
- 書類を保険会社に返送する
- 保険会社による損害状況調査の実施
- 保険金が指定の口座に振り込まれる
雪災によって、建物や家財が損害を負ったら、加入先の保険会社に連絡しましょう。保険会社に連絡する際は、契約者名や保険証券番号、事故の日時と場所、状況などを伝えるのが一般的です。
事故の連絡をすると、後日保険会社から保険金請求書をはじめとした書類が送られてくるため、必要事項を記入のうえ返送しましょう。なお保険会社に返送する書類の例は、以下のとおりです。
保険会社に返送する書類
- 保険金請求書
- 罹災証明書(罹災の事実や被害の程度を証明するもの)
- 被害を受けた建物・家財の写真や画像データ
- 修理見積書や状況報告書
必要書類を提出すると、保険会社が現地で損害状況を確認・調査します。※
※提出された必要書類等をもとに保険会社が損害の状況等を確認するため、場合によっては現地での損害状況の確認等を実施しないこともあります。
その後、契約者から提出された書類や画像データと、保険会社による損害状況調査の結果をもとに査定が行われ、支払われる保険金の額が決まります。
保険会社から提示された保険金額を契約者が了承し、指定の銀行口座に保険金が支払われると請求手続きは完了です。
火災保険を選ぶ際のポイント
火災保険を選ぶ際は、以下2点に注意すると良いでしょう。
Check!
- 複数の保険会社の見積りを比較する
- 保険金額を適切に設定する
補償内容が同じであっても、保険会社によって保険料の計算方法や割引制度が異なります。
たとえば保険会社によっては、所定のホームセキュリティを導入している場合に「ホームセキュリティ割引」が適用され、保険料が割り引かれることがあるのです。火災保険に加入する際は、複数の保険会社から見積りを取り寄せて比較して選ぶとよいでしょう。
また火災保険に加入する際は、建物や家財の保険金額を適切に設定することが大切です。保険金額を適切に設定することで、余分な保険料を支払わずに済みます。
とくに家財の保険金額は、家の中にあるものをすべて買い直したときにかかる金額を計算して決めると良いでしょう。
火災保険は保険のプロに相談しよう
雪災に備えるために火災保険への加入を検討している方は、保険会社や代理店など保険のプロに相談するのがおすすめです。自身が居住する住宅に合った補償プランを提案してもらえます。
また、複数の保険会社商品を取り扱う代理店であれば、1回の相談でまとめて火災保険の比較・検討ができるので時短になります。
ニッセンライフでは、一括見積りサービスを利用して複数の保険会社の火災保険を比較できます。火災保険の専属オペレーターに、電話で補償内容を相談することも可能です。
ぜひお気軽にお問合せください。
※2021年11月19日時点の内容のため、内容が変更になっている場合があります。
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![]() | 品木彰 |
保険、不動産、住宅ローンなどの記事を執筆するフリーランスライター 大手生命保険会社、人材会社の勤務を経て2019年1月にして独立。記名記事多数。 保有資格:2級FP技能士 |