医療保険は必要ないという人の本音 その理由と保険の意味をプロが考える

  • 更新日:

    (公開日:2020/01/07)

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医療保険は必要ないという人の本音 その理由と保険の意味をプロが考える

「健康だから、保険料がもったいない」
「日本は公的保障が充実しているから、高額な治療費はかからないしいらないだろう」

このように、医療保険は必要ないのでは?と思う方は多いかもしれません。
実際に医療保険に入らないことを選ぶ人もいます。

医療保険は、病気やケガをしたときの負担軽減として、重要な役割を持ちます。
数々の年代の相談に乗ってきた保険代理店としては、実際に病気やケガをして医療保険が役に立ったというお声を聞くことが多いものの、それでも全員が加入すべき保険だともいいきれないため難しさを感じます。

ここでは、医療保険に入ることがあなたにとって必要なのかどうかを、さまざまな角度から保険のプロが解説します。

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どんな保障があるの?医療保険とは


医療保険とは、生命保険の中の一つです。
一般的に医療保険というと、民間の保険会社が提供している保険商品のことを指します。

公的医療保険でまかないきれない負担を補うため、病気やケガで入院・手術などをしたときに、給付金が受け取れます。

保障の内容は商品によって異なり、一つの商品でも特約で変わります。先進医療にかかった費用を保障するもの、子宮筋腫や乳がんなど女性特有の疾患で入院したときに上乗せで保障するもの、入院中や退院後に収入が減少・途絶えてしまった場合の保障…などさまざまです。
入院中だけではなく、治療や家計の財政的な負担を軽減できるのが、民間の医療保険の役割といえます。

※先進医療とは、大学病院などの医療機関で研究・開発された医療技術で厚生労働大臣が認めたものを指します。健康保険が適用されないため、かかった医療費は全額自己負担になります。

あなたに合ったリスクに備えられるような特約をつけることで、医療保険を自由にカスタマイズできるのも特徴です。

ただし、医療保険では保障されないものが存在します。保障を開始する日である、責任開始日よりも前に患った病気での手術や入院は、保障の対象外です。

また、約款で定めた入院日数に満たない入院や、入院限度日数を超えた日数に関しても保障してもらえません。そのほかにも、病気の治療とは関係ない健康状態を確認するための人間ドックや、健康診断も保障の対象外となっているので、注意が必要です。

本当にいらない?医療保険が必要ないと言われる理由




「医療保険は必要ない」と考えて入らない人もいます。そのような考え方の根拠は、以下の2つです。

  1. 公的医療保険があるので、入院費がかさむことはあまりない
  2. 費用対効果が悪い


ここからは、医療保険が必要ないといわれている理由について解説します。

公的医療保険があるので、入院費はあまりかからない


医療保険が必要ないとする1つ目の理由は、入院費がかさむことはあまりないと考えているからです。予防医療の普及や早期発見・早期治療ができるようになってきた現代、病気にかかっても入院期間が長くなることは少なくなってきました。
仮に入院が長期になっても、公的医療保険のおかげで医療費は一定額に抑えられます。高額療養費制度といって、同一月(1日から末日まで)にかかった医療費の自己負担が一定額を超えると、それ以上払った金額があとから戻ってくるのです。
たとえば40歳で標準報酬月額が30万円の人の場合、9万円前後が医療費の上限額となります。

「どれだけ高額な治療を受けても9万円前後の治療費で収まるなら、民間の医療保険は必要ない」と考える人がいるのです。

※実際の自己負担上限額は、年齢や所得で決まります。今回の例のように70歳未満で標準報酬月額 が28万~50万円の場合、自己負担限度額は80,100円+(総医療費-267,000円)×1%で計算します。

費用対効果が感じられない


医療保険が必要ないとする2つ目の理由は、医療保険は費用対効果が悪いと考えているからです。

保険に加入する人の中には「契約期間中に払った保険料を回収できるかどうか」を重視する人もいます。多額の保険料を支払ったにもかかわらず、保障を受けることなく契約期間が終了してしまったり、契約期間の満期を迎えたりすれば、損をした気持ちになるのです。

たしかに、多くの医療保険は掛け捨てタイプなので、ほとんどの医療保険は払い込んだ掛け金が戻ってきません。保険の本質は「元を取ること」ではないので、自動車保険だって事故にあわない限り保険金は受け取れません。ですが、気持ち的に「掛け捨てはなんだかもったいない」と思ってしまう人もいるのです。

医療保険は必要ないと言い切れないわけ




上記のことから、医療保険は必要ないという考え方もあります。

しかし、医療保険は本当に必要ないものなのでしょうか?

ここからは、医療保険の必要性について解説していきたいと思います。

貯蓄は三角、保険は四角


「貯蓄は三角、保険は四角」という言葉を聞いたことはありますか?
万が一のときに受け取れるお金の違いを図で表したものです。

突然病気や事故でお金が必要になったとき、積み上げ途中の貯蓄だけだと不足する時期があります。
それに対して保険は、いつどのタイミングでお金が必要になっても、決まった金額が受け取れます。


医療保険は費用対効果を考えて加入するかどうか(元を取れるか)を考えるのではなく、万が一のときにまとまったお金が必要になったときの備えとして必要です。

公的医療保険では対象にならない費用もある


高額な医療費を助けてくれる公的医療保険ですが、すべての費用をカバーできるわけではありません。入院での食事代や差額ベッド代、通院時の交通費や収入が減少したことに対する保障など、**保険対象外の費用**があるのです。

差額ベッド代とは、いわゆる個室利用料のことです。個室なんて使わない!と思っていても、意外に使う機会は多いもの。骨折で入院したときはトイレ付の部屋を選びたくなりますし、小さい子供がいれば、お見舞いに来た時を考慮して個室を希望する人が多いのです。

また病気やケガで仕事ができない場合、収入の減少というリスクもあります。主に家事や育児を担う方が入院する場合、家事代行サービスを利用しないといけない場面も。

民間の医療保険は、このような保険適用外の費用をカバーします。こう考えると、一概に「医療保険は必要ない」とは言い切れないのです。

医療保険に入った方が良い場合(全年代に共通して)



医療保険に加入しておいた方がいい場合は以下の3つです。

  1. 万が一のときのために準備して安心したい方
  2. 貯蓄に対して不安が残っている方
  3. 先進医療を受けたい方


それでは項目別に解説します。

万が一の時のために準備して安心したい方


1つ目は、万が一の時のために準備しておきたいと考える人です。

平均在院日数が毎年短縮している一方、高額療養費制度を利用しても、治療費が高額になることがあります。
実際に、生命保険文化センターの「令和元年度(2019年度)生活保障に関する調査」によると、直近に入院経験のある人の約23%が1回の入院で30万円以上自己負担しており、入院する際はまとまったお金が必要になる可能性が高いことがわかります。

また、入院や通院のために休職や転職、退職をした場合は、治療費で支出は増えるのに収入が減るということも考えられます。

貯蓄に対して不安が残っている方


2つ目は貯蓄に対して不安が残っている人です。

公的医療保険の補助があっても一定の自己負担は発生し、入院期間中に収入が途絶えてしまえば、家計の負担は増えてしまうものです。差額ベッド代(個室利用料)や食事代など、公的医療保険の対象外となる費用も気になりますよね。

このような事態に備えて医療保険に加入していれば、給付金が受け取れ、経済的な負担が減ります。

逆にいえば、十分な貯蓄があるなら絶対に必要ではありません。現在の貯蓄の状況で高額な医療費を払えるか不安な人は、医療保険に加入しておいた方がいいでしょう。

先進医療を受けたい方


3つ目は先進医療を受けたいと考えている人です。

先進医療は公的医療保険の対象ではないため、医療費用は全額自己負担になります。

治療方法によって異なるものの、がんの先進医療技術の陽子線治療や重粒子線治療は1件あたり約200~300万円かかることがあります。
また、先進医療は受けられる病院・施設が限定されているため、交通費や宿泊費などが別途必要になることもあります。

将来選択肢として先進医療があげられたときに受けたいと考えるのであれば、月々100~250円程度で付けられるので先進医療特約を付けておいた方が安心です。

医療保険の必要性(年代別)


医療保険は年代別でも必要性が変わってきます。それはライフステージの違いや、病気にかかるリスクが違うからです。

ここからは年代別に、医療保険の必要性について解説します。

年代によってなぜ医療保険が必要なのか、医療保険に加入するうえでのポイントを解説します。

20代・30代


まずは20代や30代の医療保険の必要性について解説していきます。

これらの年代の人が保険について考えるきっかけは、転職や結婚・出産などのライフステージの変化があったときです。また、住宅を購入してローンを組むなど長期的な視点で人生を考えなければならなくなってくると、病気になったときに備えて医療保険の必要性を検討しはじめます。

この時期は貯金が少ないので、医療保険が必要になる人が多いです。入院日額5,000円の基本プランなどに加入しておくと安心でしょう。女性の場合は出産も見据え、女性疾病に手厚い医療保険に加入する方も多いです。

40代


40代になると、お子さんの成長とともに進路や教育費についても考えはじめる時期ではないでしょうか。

人によっては40代になると、ある程度貯蓄や収入が増えてくるため、経済的な余裕が出てくる時期です。しかし、住宅ローンがまだ多く残っていたり、第2子や第3子の出産によって、さらに経済的な安心を確保しなければならない人もいます。

また、40代になってくるとがんの罹患率が高くなりはじめるので、がん治療を保障する特約の検討もしなければなりません。それと同時に老後のことも視野に入れて、入院給付金の上乗せやがん診断一時金などを検討する必要性が出てきます。

50代~


年齢が50代に差しかかると子供が独立していくようになります。子育てにかかる費用も少なくなり、住宅ローンの残高も少なくなってくると、今度は長生きすることのリスクを考えなければなりません。

また、がんはもちろん心疾患・脳血管疾患などの三大疾病も気になるところです。新規で保険に加入する場合は、これまでの病歴や持病によって、新たに保険を検討できない可能性もあるので注意が必要です。

どのような老後を過ごしていきたいかを考え、そのためにどれだけのお金が必要で資産がどの程度あるのかを総合的に把握し、将来の医療費をまかないきれない部分を医療保険でカバーしておく必要があります。

ライフステージや年代ごとの保険については、こちらで詳しく解説しています。
⇒ライフステージの記事一覧

医療保険は必要ないの?の答え




医療保険の保障内容から、医療保険は必要ないと考えられる根拠、それでも必要な場合について解説してきました。

とくに年齢別に紹介することで、医療保険があなたに必要なのかについて想像できたのではないでしょうか。

医療保険が必要かどうかは、医療リスクやライフスタイル、家族構成などによって変わってくるため、一概に結論は出せません。現在の年齢や貯蓄の状況、どのような人生を過ごしたいのかというライフプランに適した備えを、一度しっかり考えてみましょう。

それでも自分に医療保険が必要かわからないという場合は、ぜひ個別にご相談ください!
将来のライフプランがあいまいでも、一緒に考えさせていただきます。

執筆者:太田


⇒医療保険の一覧、詳細はこちら



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この記事を監修した人
伊藤 可菜伊藤 可菜

大手生命保険会社の勤務を経て、2020年にニッセンライフに入社。
FPナビを中心にライフプラン相談などを行っており、丁寧でわかりやすい情報提供を心がけている。
保有資格:2級FP技能士

出典


「患者調査 3 退院患者の平均在院日数等」(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kanja/17/dl/03.pdf

「生活保障に関する調査」(公益財団法人 生命保険文化センター)
https://www.jili.or.jp/research/report/chousa10th.html

「がん情報サービス がん登録・統計」(国立がん研究センター)
https://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/stat/summary.html

「令和元年6月30日時点における先進医療Aに係る費用」(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/000592183.pdf

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