一戸建て(中古)の火災保険の相場はいくら?ケース別に保険料を解説
中古の一戸建ての場合、補償を厚くした火災保険料の相場は年額2万円~10万円程度です。いずれも保険期間1年の場合で、長期契約する場合は1年あたりの保険料はもう少し安くなります。
「2万円~10万円って、差がありすぎじゃないの?」と思うかも知れませんが、建物の構造、保険金額(補償限度額)、所在地、補償内容、保険期間、特約や割引制度などによって火災保険料にかなり差が出るため、本来なら一概に相場はいくらと言えないのが実情です。
保険会社によっても保険料は大きく異なるため、しっかり条件を揃えなければうまく比較ができません。また、補償をあれもこれもつけてしまうと余計な費用を払いすぎてしまう可能性があります。
そこで今回は、ケースごとにいくらが保険料の相場なのか、一社の火災保険で条件をそろえて比較することで、一目でわかるように解説していきます。
ちなみに、保険金額(補償限度額)は「新価」つまり「同じ物件を新しく購入するのに必要な金額」で計算するため、中古物件でも新築物件でも、火災保険料に大きな差は生まれません。
一戸建て(中古)の火災保険の相場
序文でもお話したように、火災保険の保険料は、そのケースごとにかなり違いがあるため、一概に「相場はこれくらい」と言えないのが実情です。そのため、今回は損保ジャパンの火災保険「THE すまいの保険 ベーシックⅠ型」を参考に、条件をそろえて保険料を出してみました。比較するケースは次の3つです。
比較するケース
- 地震保険をつけるかつけないか
- T構造(耐火構造)かH構造(非耐火構造)か
- 建物の所在地(都道府県)はどこか
さっそく見ていきましょう。
<地震保険をつけない場合>
構造級別 | 所在地 | 保険料 |
---|---|---|
T構造 (耐火構造) |
北海道 | 26,030 |
東京 | 24,710 | |
愛知 | 24,900 | |
大阪 | 23,800 | |
福岡 | 36,260 | |
H構造(非耐火構造) | 北海道 | 45,470 |
東京 | 44,130 | |
愛知 | 42,550 | |
大阪 | 42,890 | |
福岡 | 71,460 |
<地震保険をつける場合>
構造級別 | 所在地 | 保険料 |
---|---|---|
T構造 (耐火構造) |
北海道 | 35,780 |
東京 | 55,960 | |
愛知 | 42,900 | |
大阪 | 39,550 | |
福岡 | 45,140 | |
H構造(非耐火構造) | 北海道 | 62,350 |
東京 | 92,760 | |
愛知 | 73,430 | |
大阪 | 70,890 | |
福岡 | 85,960 |
- ※シミュレーション条件
- 保険始期日:2020/8/1
- 物件:専用住宅物件
- 用法:専用住宅
- 面積:100㎡
- 建築年月:平成22年7月
- 建物の保険金額:2,000万円
- 家財の保険金額:500万円
- 地震保険を付ける場合、建物の保険金額:1,000万円
- 地震保険を付ける場合、家財の保険金額:250万円
- 補償の内容:火災、落雷、破裂・爆発、風災・雹災・雪災、水災、飛来、水濡れ、騒じょう、盗難、破汚損
- 自己負担:なし(破汚損は1万円)
- 保険期間:1年
- 払込方法:一括払
- 地震保険を付ける場合、地震保険の保険期間:火災保険と同じ
表を見ていただくと、条件によってかなり金額に差があることがわかりますよね。自分の場合はどの程度の火災保険料が適切なのか知るためには、この中でどのケースに近いか考える必要があります。そこで、3章では4つのモデルケースを用意して、詳細な火災保険料の相場を解説していきます。
ただ、金額相場を見る前に、どういう内訳で火災保険が決まるのか、正しく理解する必要があります。「一戸建ての火災保険料を左右する5つの要因」で内訳を理解したうえで、「4つのケースごとに詳細な火災保険料の相場を解説」に進み、ご自身の状況に近いケースでの詳細な相場を確認してみてください。
一戸建ての火災保険料を左右する5つの要因
中古物件を含む**「一戸建て(住宅・一軒家)」の火災保険料**は、主に以下によって決まります。
構造級別 (建物の構造はどれか) | T構造(耐火構造)とH構造(非耐火構造)では、H構造(非耐火構造)の火災保険料が2倍程度高くなります。 |
---|---|
保険金額 (建物・家財の評価額) |
保険金額(保険会社から支払われる限度額)が高ければ、火災保険料も高くなります。保険金額は、建物の評価額・家財の評価額を元に設定します。 |
補償内容 (どこまで補償するか) | 火災・風災・水災・盗難・破損どこまでカバーするか、地震保険をつけるかつけないかで、火災保険料にかなり価格差が生まれます。補償を手厚くするほど、火災保険料は高額になります。 |
建物の所在地 (どの都道府県に建っているか) |
都道府県ごとに保険料率が異なります。災害の発生が多く損害が大きい都道府県ほど、火災保険料は高くなります |
建物の建築年月 (いつ建てられたか) |
基本的には構造などの条件が同じなら築年数に限らず火災保険料は一律です。しかし保険会社によっては、新築割引や築浅割引、耐震性に応じた割引などがあるため、新しい物件の方が火災保険料は安くなる傾向があります。 |
5つの項目について、さらに詳しく解説していきます。
(1) 構造級別(T構造・H構造)
構造級別は、建物の柱・はり・外壁がどのような素材でできているかで決まります。一戸建ての場合は、T構造(耐火構造)かH構造(非耐火構造)どちらかに該当します。
T構造 (耐火構造) |
|
---|---|
H構造 (非耐火構造) |
上記のT構造、またはM構造(マンション構造)に該当しない建物。主に木造の住宅がH構造となります。 |
災害が起きた場合、T構造(耐火構造)の方が損害が少なくて済むため、火災保険料はT構造(耐火構造)の方が安く設定されています。同じ条件で比べると、H構造(非耐火構造)の方が2倍程度高くなります。
(2) 保険金額(建物・家財)
保険金額とは、実際に火災や事故などが起こったときに保険会社から支払われる保険金の限度額のことです。たとえば建物が全焼した場合に、1,500万円支払われる保険と2,500万円支払われる保険では、もちろん後者の方が保険料は高くなります。
建物の保険金額
中古物件の火災保険に加入する場合、建物の保険金額は、同等の建物を建て直すときにかかる費用(「再調達価額(新価)」といいます)を基準に設定します。
物件が建てられた時点の建築価額(土地代を含まない建物の購入金額)がわかる場合は、建築年ごとに定められている所定の係数を乗じることで、保険金額を算出できます。
例:T構造(耐火構造)・平成22年完成・当時の建築価額2,000万円の場合、
再取得価額=約2,180万円
建物の構造ごとの平均単価に延床面積をかけることで、概算の金額を算出できます。
例:T構造(耐火構造)・延床面積100平方メートル・東京都の場合、
再取得価額=約2,630万円
家財の補償額
火災保険では、家の中にある家具や貴金属、衣服、食器などの家財も補償対象になります。さきほど建物の保険金額で説明したのと同様に、家財の補償額も一般的に、新しく同等のものを調達するのに必要な額(「再調達価額(新価)」)で設定します。
実際に家の中にある家財を計算するのは難しいため、補償額の設定にあたっては、世帯主の年齢・家族構成を元にした家財新価の目安を参考にするとよいでしょう。
家族構成 | 2名 大人のみ | 3名 大人2名子ども1名 | 4名 大人2名子ども2名 | 5名 大人2名子ども3名 | 独身世帯 | |
---|---|---|---|---|---|---|
世帯主の年齢 | 25歳前後 | 490万円 | 580万円 | 670万円 | 760万円 | 300万円 |
30歳前後 | 700万円 | 790万円 | 880万円 | 970万円 | ||
35歳前後 | 920万円 | 1,000万円 | 1,090万円 | 1,180万円 | ||
40歳前後 | 1,130万円 | 1,220万円 | 1,310万円 | 1,390万円 | ||
45歳前後 | 1,340万円 | 1,430万円 | 1,520万円 | 1,610万円 | ||
50歳前後(含以上) | 1,550万円 | 1,640万円 | 1,730万円 | 1,820万円 |
(3) 補償内容(どこまで補償するか)
火災保険の保険料は、補償の内容によって大きく価格が変わります。最低限の補償でよい場合は安く抑えられますが、手厚い補償をつければ保険料も高くなるのです。建物や家財の保険金額が一緒でも、火災だけ補償するプランと、火災・風災・水災・盗難・破損まで補償するプランでは、価格に差が生まれます。
たとえば川や海が近くにない地域では、水害のリスクは低いため、水災の補償をつけない選択もできます。住宅がある土地の気候や家族の状況などを加味して、自分のケースで必要な補償を選ぶようにしましょう。
(4) 建物の所在地(都道府県)
一戸建ての所在地によっても火災保険の保険料は変わります。なぜならば、保険会社が火災保険料を算定する際に指標としている**「火災保険参考純率」**が都道府県ごとに異なるからです。
それではなぜ都道府県ごとに料率が異なるかというと、建物の所在地によって火災や風災などが発生する災害リスクが異なるためです。災害の発生が多く損害が大きい都道府県ほど、火災保険料は高くなります。
(5) 建物の建築年月(いつ建てられた一戸建てか)
**「建物の保険金額」**でも説明したとおり、火災保険の保険金額は再調達価額(建て直しに必要な金額)で決まるため、構造などの条件が同じなら、基本的には中古物件でも新築物件でも火災保険料は変わりません。
ただし保険会社によっては、新築割引や築浅割引、耐火性・耐震性に応じた割引などがあるため、新しい物件の方が火災保険料が安くなる傾向があります。
4つのケースごとに詳細な火災保険料の相場を解説
(1) T構造(耐火構造)&建物の保険金額が1,500万円の場合
地震保険なし | 地震保険あり | |||
---|---|---|---|---|
建物の保険金額 | 1,500万円 | 1,500万円 | 1,500万円 | 1,500万円 |
家財の保険金額 | 100万円 | 500万円 | 100万円 | 500万円 |
保険料(円) | 17,530 | 20,610 | 37,530 | 45,610 |
- ※シミュレーション条件
- 保険始期日:2020/8/1
- 物件:専用住宅物件
- 用法:専用住宅
- 面積:100㎡
- 建物の所在地:東京都
- 建築年月:平成22年7月
- 建物の保険金額:1,500万円
- 家財の保険金額:100万円、500万円
- 地震保険を付ける場合、建物の保険金額:火災保険金の半額
- 地震保険を付ける場合、家財の保険金額:火災保険金の半額
- 補償の内容:火災、落雷、破裂・爆発、風災・雹災・雪災、水災、飛来、水濡れ、騒じょう、盗難、破汚損
- 自己負担:なし(破汚損は1万円)
- 保険期間:1年
- 払込方法:一括払
- 地震保険を付ける場合、地震保険の保険期間:火災保険と同じ
(2) T構造(耐火構造)&建物の保険金額が2,500万円の場合
地震保険なし | 地震保険あり | |||
---|---|---|---|---|
建物の保険金額 | 2,500万円 | 2,500万円 | 2,500万円 | 2,500万円 |
家財の保険金額 | 100万円 | 500万円 | 100万円 | 500万円 |
保険料(円) | 25,450 | 28,530 | 57,950 | 66,030 |
- ※シミュレーション条件
- 保険始期日:2020/8/1
- 物件:専用住宅物件
- 用法:専用住宅
- 面積:100㎡
- 建物の所在地:東京都
- 建築年月:平成22年7月
- 建物の保険金額:2,500万円
- 家財の保険金額:100万円、500万円
- 地震保険を付ける場合、建物の保険金額:火災保険金の半額
- 地震保険を付ける場合、家財の保険金額:火災保険金の半額
- 補償の内容:火災、落雷、破裂・爆発、風災・雹災・雪災、水災、飛来、水濡れ、騒じょう、盗難、破汚損
- 自己負担:なし(破汚損は1万円)
- 保険期間:1年
- 払込方法:一括払
- 地震保険を付ける場合、地震保険の保険期間:火災保険と同じ
(3) H構造(非耐火構造)&建物の保険金額が1,500万円の場合
地震保険なし | 地震保険あり | |||
---|---|---|---|---|
建物の保険金額 | 1,500万円 | 1,500万円 | 1,500万円 | 1,500万円 |
家財の保険金額 | 100万円 | 500万円 | 100万円 | 500万円 |
保険料(円) | 31,720 | 36,710 | 62,850 | 75,620 |
- ※シミュレーション条件
- 保険始期日:2020/8/1
- 物件:専用住宅物件
- 用法:専用住宅
- 面積:100㎡
- 建物の所在地:東京都
- 建築年月:平成22年7月
- 建物の保険金額:1,500万円
- 家財の保険金額:100万円、500万円
- 地震保険を付ける場合、建物の保険金額:火災保険金の半額
- 地震保険を付ける場合、家財の保険金額:火災保険金の半額
- 補償の内容:火災、落雷、破裂・爆発、風災・雹災・雪災、水災、飛来、水濡れ、騒じょう、盗難、破汚損
- 自己負担:なし(破汚損は1万円)
- 保険期間:1年
- 払込方法:一括払
- 地震保険を付ける場合、地震保険の保険期間:火災保険と同じ
(4) H構造(非耐火構造)&建物の保険金額が2,500万円の場合
地震保険なし | 地震保険あり | |||
---|---|---|---|---|
建物の保険金額 | 2,500万円 | 2,500万円 | 2,500万円 | 2,500万円 |
家財の保険金額 | 100万円 | 500万円 | 100万円 | 500万円 |
保険料(円) | 45,910 | 50,900 | 96,490 | 109,260 |
- ※シミュレーション条件
- 保険始期日:2020/8/1
- 物件:専用住宅物件
- 用法:専用住宅
- 面積:100㎡
- 建物の所在地:東京都
- 建築年月:平成22年7月
- 建物の保険金額:2,500万円
- 家財の保険金額:100万円、500万円
- 地震保険を付ける場合、建物の保険金額:火災保険金の半額
- 地震保険を付ける場合、家財の保険金額:火災保険金の半額
- 補償の内容:火災、落雷、破裂・爆発、風災・雹災・雪災、水災、飛来、水濡れ、騒じょう、盗難、破汚損
- 自己負担:なし(破汚損は1万円)
- 保険期間:1年
- 払込方法:一括払
- 地震保険を付ける場合、地震保険の保険期間:火災保険と同じ
火災保険料を安く抑えるポイントは3つ
ここまで解説してきた相場を見て、高くなりそうだなあと感じた方もいるかもしれません。火災保険の一般的な相場感と保険料が決まる仕組みを理解したところで、ここからは火災保険料をできるだけ安く抑える方法についても解説します。
火災保険料を安く抑えるポイントは3つあります。
ポイント
- 補償内容や特約を見直す
- 保険期間を長くして長期一括払にする
- 保険会社を比較する
(1) 補償内容や特約を見直す
補償内容や特約を見直すことで、火災保険料を安く抑えることができます。
火災はもちろん風災・水災・盗難・破損すべてのリスクに対応し、さらに類焼損害補償特約など多くの特約に入れば、それだけ火災保険料は高額になります。しかし、川や海から離れた高台にある一戸建ての場合はそれほど水災リスクがないため、水災を外すという選択もできるのです。
自分のケースの場合はどの補償や特約が必要か判断した上で、補償内容がカスタマイズできる火災保険を選ぶとよいでしょう。
(2) 保険期間を長くして長期一括払にする
保険期間を長く設定して一括払にすることで、長期契約による割引が適用され、1年あたりの保険料を安くすることができます。契約期間は最大10年まで設定でき、長ければ長いほど保険料が安くなる可能性があります。
(3) 相見積りを取って保険会社を比較する
複数の保険会社から同条件で見積りを取って比較することで、火災保険料を抑えられます。なぜならば、保険会社によって保険料率が違うからです。住宅ローンを利用する銀行やハウスメーカーから勧められた火災保険に入るのもよいですが、そのまま契約するのではなく、必ず別の保険会社の保険とも比較してみましょう。
書類で複数社の火災保険の見積もりを
作成可能です。
ただし、保険料の額面の安さだけで保険会社を選ぶのは危険です。基本的な条件を揃えたとしても、細かい補償内容や免責金額、保険金が出る条件などは保険会社ごとに異なります。
できれば火災保険に精通したプロのアドバイザーに相談し、アドバイスを受けながら最適な火災保険を決めていくようにしましょう。
当社にご相談いただければ、お客さまに最適な火災保険を最大9社からご提案いたします。電話でのご相談はもちろん、お伺いして対面でのご相談も可能です。ぜひお気軽にお問い合わせください。
まとめ
中古・一戸建ての火災保険相場について、解説しました。
繰り返しになりますが、火災保険料はケースごとにかなり価格が異なり、一概に「相場はいくら」とは言えません。しかし、だからといって一社だけから見積りを取って契約するのは危険です。不必要な補償や特約をつけてしまい、保険料が高額になりかねません。
払いすぎを防ぐためには、やはりプロのアドバイザーに相談して、何社かの火災保険を比較しながら商品を決めていくのがおすすめです。自分のケースだとどんな補償が大事なのか、特約の内容はどうなっているのかなど、わからない点を質問しながら火災保険を選べます。
明確な相場が存在しないからこそ、一人で選ぶよりもプロと一緒に選ぶのがおすすめです。