子どものための防災対策まとめ。年齢別防災グッズとあわせて解説
子育て世帯で防災を考えるとき、災害時に子どもたちの保護をどうするのかといった問題が出てきます。
筆者宅にも乳児と幼児がいます。
- 実際に災害にあったときに、子どもを連れてすぐ動けるのか
- 大きくなってきた子どもには何を伝えておくべきか
- 子どもがいる家庭の防災グッズに不足はないか
こうした悩みや疑問があり、家族で話し合いを重ねてきました。
そこで、この記事では筆者が実践している子育て家庭向けの防災対策をまとめました。
ステップごとに順を追って実践していけば、もう防災対策で迷うことはありません。
子どものための防災対策で悩んでいる家庭は、参考にしてください。
ステップ1.もっとも大切な防災対策は家族との話し合い
最初にするべき防災対策は、家族との話し合いです。
話し合っておくべき項目を以下の表にまとめました。
話し合う内容 | 子どもに伝えておくこと |
---|---|
1.災害の種類・場所別の対処方法を確認する | (地震) 自宅:テーブルや机の下にもぐり、座布団などで頭を守り、揺れが収まるのを待つ 自宅外:かばんや上着などで頭を守りながら、危険なものから離れて公園などの広い場所に逃げる。学校や幼稚園では先生の指示に従う (火災) ハンカチで口・鼻を押さえてすぐ逃げる (川の氾濫・土砂災害) 土砂災害警戒情報に気をつけ、市町村の避難勧告に従う。浸水や暴風で移動が困難な際は、家の中でできるだけ安全な場所に避難 |
2.市町村で決められている避難場所を把握しておく | 小中学校など、最寄りの避難場所とそこまでのルートを確認。子どもが迷わず行けるように教えておく |
3.災害に備えた各自の役割を決める | 災害時の役割を家族で決めておく。子ども専用の防災バッグを持ち出す役割、兄弟間で親に連絡する役割など、子どもにも役割を与えておく |
4.家の中で危険な場所はないかを確認 | 災害時の転倒・落下に備えて家具の配置をしたり、住宅の補強をしたりするところを、子どもに見せておく。子どもに「家の中で危ない場所」をわからせておく |
5.住んでいる町のハザードマップを見る | ハザードマップで水害や土砂災害が起こりやすい場所を確認しておき、子どもに「家の外で危ない場所」をわからせておく |
6.災害時の連絡ルールを決めておく | 離ればなれになった時はどうやって連絡を取るのか、連絡のルールを決めて共有しておく |
7.子どもに災害時に使える連絡手段を教えておく | 親の連絡先を書いたメモを常時携帯させておく。災害伝言ダイヤル(電話)や災害伝言版サービス(Web)や公衆電話の使い方、和式トイレの使い方を教えておくなど |
8.防災バッグの場所と中身。使い方を確認しておく | 防災バッグの中にある携帯用トイレや防寒具、懐中電灯など、ふだん使わないものの使い方を教えておく |
子どもが年中~年長以降になれば、ある程度大人の話も理解できるようになります。
常日頃から「地震や火事が起きたらどうする?」と子どもに問いかけながら、家族全員で話し合いましょう。
以前の筆者もそうだったのですが、防災バッグの用意で安心してしまう家庭は多いです。
しかし防災バッグがあっても、それをいつ・どのタイミングで持ち出すのか。中に何が入っているのかを家族全員が把握しておかなければ、いざというときにうまく活用できません。
警視庁によると、こんな家庭も多いようです。
<警視庁警備部災害対策課のツイート>
私の実家は浸水ハザードマップで5メートル以上の浸水が予想される地域です。そのため、幼少期から母親に「私が仕事で不在でも大雨が降れば高台の小学校に集合よ。」と言い聞かされていました。災害はいつ起こるか分かりません。親の不在時や家族が離ればなれの時にどうすべきか話し合っておきましょう
— 警視庁警備部災害対策課 (@MPD_bousai) May 24, 2021
自宅の非常食の場所を知らない子供が5人に1人というアンケート結果を見て、娘に同じ質問をしてみました。「知らない。」との答えが返ってきてガッカリ。せっかく用意した防災グッズも大人がいないと役に立たないのではないかと感じました。用意するだけでは自己満足。家族で共有することが大切ですね
— 警視庁警備部災害対策課 (@MPD_bousai) June 14, 2021
災害時の状況を想定して話し合いをしておけば、万一の際に行動しやすいのではないでしょうか。
ステップ2.家族用・子ども用の防災バッグを準備
家族間で話し合いができたら、防災バッグの準備です。
子育て世帯では、家族の防災バッグと子どものための防災バッグをそれぞれ用意しましょう。
<家族の防災バッグ>
総務省によると、家庭用防災バッグで最低限必要なグッズは以下のとおりです。
https://www.fdma.go.jp/publication/database/activity001.html
このほか、被災された方の体験談をもとに各家庭で必要なものを揃えていきましょう。
警視庁警備部災害対策課のTwitterでは、被災者の意見を元にさまざまな情報共有がされています。こうしたTwitterの情報をたどるのもおすすめです。
被災された方の体験談で「災害時の避難先では多くの方々が同じ空間を共有し、深夜でも照明の明るさで眠れなかった」という内容の記事を読みました。睡眠不足は、体力の低下やストレスの原因となります。寝つきが悪く心配な方は、非常用持出袋にアイマスクと耳栓を準備しておくことをおすすめします。 pic.twitter.com/vdBkgUpWVm
— 警視庁警備部災害対策課 (@MPD_bousai) October 27, 2020
私は液体ハミガキを愛用しています。阪神淡路大震災の被災者の中には、水不足などで十分に歯磨きができず、口内で増殖した細菌を原因とする肺炎により、亡くなる高齢者の方もいたそうです。液体ハミガキは使用後の水のすすぎは不要、ブラッシングだけで口内ケアが可能です。防災グッズに加えてみては。
— 警視庁警備部災害対策課 (@MPD_bousai) June 11, 2021
子育て世帯では、上記のほかに子ども用の防災バッグが必要です。
ここでは、子どもの年齢別にバッグに入れておきたい防災グッズを紹介していきましょう。
【0歳-1歳】乳児期の防災バッグの中身
乳児期の赤ちゃんは、自分で歩くことも食べることもできません。
そのため乳児期の防災バッグ作りでは、以下のポイントに気をつけて防災グッズを用意しましょう。
- <防災バッグ作りのポイント>
- ミルクや離乳食の備えは多めにしておく
- 赤ちゃんを抱っこしながら持ち運びしやすい形のバッグにしておく
- <最低限必要な防災グッズ>
- 紙おむつ(3日~1週間分)
- おむつを入れる消臭袋
- おしりふき
- 赤ちゃんの着替え(3日~1週間分)
- 授乳セット(授乳ケープ、液体ミルク、哺乳瓶など。ミルクは多めにあるといい)
- 市販のベビーフード・離乳食(1週間分。多めにあるといい)
- 歯磨きシート・液体歯磨き粉
+ - 避難時には赤ちゃんの「愛用品」を入れる
とくに重要なのが、いつも使っている「愛用品」です。
普段使っているガラガラ、ママの匂いがするブランケット、寝るときに欠かせないぬいぐるみなど、赤ちゃんが安心するものを入れておくことをおすすめします。
慣れない避難生活で夜泣きやグズリが続けば、親も消耗してしまいます。
親子のメンタルを保つためにも、赤ちゃんの愛用品は必ず持ち運ぶようにしましょう。
【2歳-5歳】幼児期の防災バッグの中身
幼児期になるとおむつが外れ、親の言うことを理解できるようになってきます。
そのため幼児期の防災バッグ作りでは、以下のポイントに気をつけて防災グッズを用意しましょう。
- <防災バッグ作りのポイント>
- おむつ外れの状況にあわせてバッグの中身をこまめに見直す
- 「何かあったらこのバッグを持ち運ぼうね」と、防災バッグの存在を伝えておく
- 絵本やおもちゃで不安を緩和できるようにしておく
- <最低限必要な防災グッズ>
- 紙おむつ(3日~1週間分。子どもの成長にあわせて調整)
- おむつを入れる消臭袋
- おしりふき
- 子どもの着替え(3日~1週間分)
- 子ども用の非常食・水・携帯用トイレ(多めに入れておく)
- 子ども用の衛生用品(歯磨き・歯ブラシなど)
- 絵本、お絵かき用のノート、おもちゃ、ゲーム、ぬいぐるみなど
- 子ども用マスク
話がわかるようになってくるとは言っても、まだまだ子どもです。
親と離れることで食欲がなくなったり、眠れなくなったりする可能性も考えられます。
乳児期と同様に絵本やおもちゃなど、子どもが落ち着くもの・好きなものをバッグに入れておきましょう。
【6歳以降】小学生の防災バッグの中身
6歳以降の小学生時期には、大人用の防災バッグとほぼ同じグッズを揃えておけばいいでしょう。
ただ、しっかりしているとは言ってもまだ小学生。
避難場所では暇を持てあましたり、不安になったりすることもあるでしょう。
東日本大震災の被災経験者によると、長期間の避難生活は退屈で、持っていたトランプやオセロといったゲームが非常に役立ったそうです。
コンパクトで持ち運びやすく、複数人で遊べるゲームは避難生活に役立つはず。
こうした「時間をつぶせる」系の気軽なゲームも入れておくといいでしょう。
また小学校高学年の女の子がいる場合は、生理用品も欠かせません。
生理がきていない場合でも、念のために多めに生理用品を入れておけば万一の際は安心です。
ステップ3.防災意識を高める防災遊びを日常に取り入れる
常日頃から災害の意識を持っておかなければ、とっさに動くことはできません。
防災について話し合うだけではなく、日常的な遊びで子どもの防災意識を高めることが大切です。
- <日常的にできる防災遊び>
- 花火や子どもと行う料理の際に、火の危険性と使い方を教えておく
- 防災意識が芽生える塗り絵や絵本を遊びに取り入れる
各市区町村の「防災塗り絵」参考↓
https://www.city.nerima.tokyo.jp/kurashi/bosai/bo_college/nerimaru_nurie.html
http://kyotobousai-c.com/images/nurie01.pdf - 災害時に使える簡易トイレやスリッパを新聞紙で作ってみるなど、万一の際を想定した手作り遊び
- 懐中電灯やラジオなど、普段使わない防災グッズを使った遊びをしてみる
国土交通省では、子どもの防災教育に使える素材や教材を集めたページを開設しています。
「防災教育ポータル」
多数の教育現場でも取り入れられている防災教育。
自宅でも日常的に行えば、親子で災害への意識を高めていけるのではないでしょうか。
まとめ
子どもがいる家庭の防災対策でもっとも重要なのは、家族全員で同じ意識を持つことです。
せっかく立派な防災バッグを用意しても、その存在を知っているのは大人だけ。
こんな状態では、万一大人とはぐれた場合に子どもだけで迅速に動くことができません。
子どもを守るためには、常日頃から家族全員で話し合い、災害時にどう動くのかをシミュレーションしておく必要があります。
子育て世帯では、以下のステップに従い防災対策を取り入れてみてください。
- 家族で話し合う
- 防災バッグを準備する
- 防災遊びで防災意識を高める
子どもは大人が思っている以上に賢いものです。
日常の遊びに防災も取り入れていけば、万一の災害に役立つ「生きる力」が鍛えられるのではないでしょうか。
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一括見積り作成を依頼する出典
「災害に対するご家庭での備え~これだけは準備しておこう!~」(首相官邸ホームページ)
https://www.kantei.go.jp/jp/headline/bousai/sonae.html
「災害用伝言ダイヤル(171)」(NTT東日本)
https://www.ntt-east.co.jp/saigai/voice171/
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