貯蓄型・投資型保険「変額個人年金保険」
変額個人年金保険ってどんな保険?
変額個人年金保険は、運用実績によって、将来受取る年金額が変わる保険商品です。その特徴やメリット、どんな人に向くか、トレンドについて整理しておきましょう。
変額個人年金保険の特徴は?
変額個人年金保険は、その運用実績によって、将来受け取る年金や解約返戻金などの額が変動する年金保険です。変額個人年金保険の資産は、ほかの種類の保険商品とは別に、「特別勘定」で国内外の株式や債券などで運用・管理されます。「株式や債券で運用され、価格が変動する」点は投資信託とも似ていますが、変額個人年金保険は保険商品なので死亡保険金があり、年金原資(将来の年金支払いのために積立てられる金額)や死亡保険金額に最低保障がある場合も多いことが投資信託とは異なる点です。
変額年金保険の保険料は、契約時に一時払いするタイプが主流です。運用の成果は、確定年金や保証期間付終身年金などの年金として、あるいは一時金で受け取ります。
解約返戻金については、多くの場合は最低保証がなく、解約返戻金が払込保険料総額を大きく下まわる可能性もあります。また、早期に解約した場合には、契約期間に応じた「解約控除」が差し引かれ、解約返戻金がより減ってしまうので注意が必要です。
年金原資や死亡保険金、解約返戻金などが保証されるかどうかは、商品によって異なるので、比較検討する際には、必ず確認するようにしましょう。
変額個人年金保険には運用関係の費用もかかる
変額個人年金保険には、保険商品としてかかる費用のほかに、運用に関する費用もかかります。費用は積立金額から差引かれるので意識しづらいですが、変額年金保険で得られる利益に対してどれくらいの費用がかかるのか、商品パンフレットなどで確認しておきましょう。
図表2 変額個人年金保険にかかる費用
諸費用 | 費用の内容 | 一般的な費用の目安 |
---|---|---|
契約初期費用 | 保険契約締結時の手数料・費用 | 契約時に1.7~6%程度の割合で一時払保険料から控除されます。なお契約初期費用がかからない商品もあります。 |
保険関係費用 | 契約維持費用、死亡給付金の最低保証などの費用 | 年率0.2~3.2%程度の割合で積立金から毎日控除されます。 |
運用関係費用 | 特別勘定の運用にかかる費用 | 年率0.04~2%程度の割合で積立金から毎日控除されます。 |
年金管理費用 | 年金開始後の年金財産管理のための費用 | 年金年額に対し1%程度が1年に一度控除されます。 |
解約控除 | 契約後一定期間内の解約時に積立金から控除される金額 | 契約から1~10年間程度、所定の額(一時払保険料など)の8~0.4%程度が控除されます。なお、解約控除がかからない商品もあります。 |
スイッチング費用 | 据置期間中に積立金の運用を行う特別勘定を別の特別勘定に変更する場合に発生する費用 | 年間を通して13~16回以上の変更から1回の変更につき1,000円程度が積立金から控除されます。 |
出典 (公財)生命保険文化センター ホームページ ほけんガイドweb「変額個人年金保険 こんな点もチェック!」より引用
変額個人年金保険は価格変動を受け入れられる人に向く
変額個人年金保険を利用するのに向くのは、運用期間中の価格変動を受け入れられる人で、運用間中に中途解約するような予定がなく、たとえ運用がうまくいかない時期があっても値上がりを待つことのできる時間的な余裕がある人といえます。
なぜなら、変額個人年金保険は、運用がうまくいけば資産を大きく殖やせる可能性がある半面、運用期間中には元本割れ状態となることもあり得る商品だからです。「一時的に値下がりしても、最終的に増えていればよい」と考えられないと、価格変動のたびに一喜一憂することになります。また、特に早期に中途解約した場合には払込保険料相当額を下まわる解約返戻金を受取る可能性が高くなります。中途解約する可能性の高い人は、変額個人年金保険の利用は見あわせたほうがよいでしょう。
変額個人年金保険は減少傾向
生命保険協会の「2017年版生命保険の動向」によると、個人年金保険全体の契約件数は増加傾向にあるにも関わらず、変額個人年金保険の契約件数は減少傾向にあります。2008年の金融危機で、元本割れとなる変額個人年金保険が出たため、リスクを避けて、定額型の個人年金保険を選ぶ傾向になっているようです。
最近の変額個人年金保険では、外貨建ての到達目標設定型のものが多くなっています。円よりも金利の高い外貨建てで、契約時に一時払い保険料の110~150%などの目標値を設定し、目標値に達した場合には運用成果を確保(年金受取り、一時金での受取り、一般勘定への移行など)ができるタイプです。予想外に将来の受取年金額が増える可能性はありませんが、自分が納得できる金額まで増えたら受取ってしまえば、その後の価格変動を心配しなくて済む、ちょっと安心感のある仕組みになっています。
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子どもマネー総合研究会
大林香世
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