老後に備える「公的年金は、どのぐらい受け取れるの?」

国民年金と厚生年金の給付額の違い

老後の生活保障について、公的な社会保険から具体的にどのぐらいの保障を受けられるのでしょうか。高齢化が進む日本社会においてとても気になるところです。

実は、老後に実際に受け取れる老齢年金の金額は、加入している公的保険の種類(国民年金・厚生年金)や、加入年数等によって大きく異なります。また、受給するためには各種の条件もあります。

国民年金加入者の年金受取額

自営業者など国民年金加入者は、65歳から「老齢基礎年金」を受け取ります。老齢基礎年金は、40年間以上納付している場合、65歳から満額で年間78万900円受け取れます(令和3年度の場合。年金額は毎年変更されます)。なお、保険料を全額免除された期間の年金額は1/2(平成21年3月分までは1/3)になります。
また、この他に国民年金基金加入者には上乗せ給付があります。

老齢基礎年金の給付額(年額)

老齢基礎年金は、満額を受け取る人でも年間78万900円、月額にするとひと月あたり6万5,075円です。夫婦二人とも国民年金の場合は夫婦で約13万円となります。ただし、未納期間があると受取額が下がる可能性もあります。

厚生年金加入者の年金受取額

サラリーマンや公務員など厚生年金加入者は、「老齢基礎年金+老齢厚生年金」を受け取ることになります(2階建て)。なお、この他に厚生年金基金加入者や企業年金、401K加入者等には、その分の上乗せがあります。

老齢年金の受取額は支払った厚生年金保険料の金額や年数等によって異なりますが、参考までに、平成28年度の厚生年金受給者の平均年金受取額は、男性で月16万4,770円、女性では月10万3,159円となっています。

※各数値の出典:厚生労働省「令和元年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」より

夫婦二人が受け取れる公的年金額の平均額は?

次に夫婦二人で受け取れる金額について、平均値の例をみてみましょう。

夫婦二人の世帯が受け取れる公的年金額の平均

国民年金加入

13万0,150円

(1人6万5,075円)

夫婦が共に国民年金加入者で、40年以上保険料を全額納めた場合。
厚生年金加入22万496円夫が平均的収入(平均標準報酬(賞与含む月換算)43.9万円)で40年間就業し、妻がその期間すべて専業主婦であった世帯が年金を受け取り始める場合の給付水準。

厚生労働省「令和3年度の新規裁定者(67歳以下の方)の年金額の例」より

公的年金(老齢年金)の受取要件

老齢基礎年金を受給するためには、保険料を納めた期間と、保険料を免除された期間、ならびに合算対象期間(※)を通算した期間が10年間(120月)以上あることが必要です。

老齢厚生年金の受給するためには、次の条件が必要です。
①上記の、老齢基礎年金の支給要件を満たしていること
②厚生年金保険の被保険者期間が1ヶ月以上あること

※昭和61年(1986)3月以前に、国民年金に任意加入できる人が任意加入しなかった期間、平成3年(1991)3月以前に、学生であるため国民年金に任意加入しなかった期間、昭和36年(1961)4月以降海外に住んでいた期間などがある。(いずれも20歳以上60歳未満の期間)

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森田直子