自動車保険について「自動車保険のしくみ④[運転者の条件]」

運転者の範囲条件とは

自動車は、その所有者だけではなく、家族が使用することも多いので、自動車保険では保険の支払いの対象となる運転者は、記名被保険者(保険証券に名前が記載されている被保険者)のみならず、「その自動車を運転する人」としています。

しかし、自動車を夫婦だけで使用しており、他の人は運転していないケースや、26歳以上の人しか運転していないなどのケースでは、運転者の範囲を特約によって限定することで、保険料をおさえることが可能です。

では、どのような特約があるのかみてみましょう。

運転者年齢条件特約

この特約は、運転者を「年齢条件に合致する者に限定する」もので、年齢条件に合わない人が運転している間に生じた事故による損害または傷害については、保険金は支払われません。

また、「21歳以上」、「26歳以上」、「35歳以上」などと限定することにより、事故を起こしやすい年者をのぞくことで保険料が割引となります。

ただし、友人など家族以外の人や、帰省中の別居の未婚の子が運転をする場合は、年齢範囲にかかわらず補償します。

たとえば、26歳以上補償の契約で、20歳の別居の未婚の子が事故を起こした場合は補償の対象になります。

家族の成長によって年齢条件を変更していくことが必要となるので、契約の更新の際はその保険で設定されている年齢条件をよく確認すると良いでしょう。ただし、保険会社によって年齢の条件は違う場合があります。

運転者限定特約

この特約は、「運転者を特定の者に限定する」もので、特定した人以外が運転している間に生じた事故による損害または傷害に対しては、保険金は支払われません。運転者を「本人」、「夫婦」に限定するタイプなどがあります。

表1 補償される運転者の範囲

自動車保険の全体像

他車運転危険補償特約

たとえば、免許を取ったばかりの20歳の孫が、離れて暮らす祖父母の家に遊びに行き、祖父母の自動車(夫婦限定、30歳以上限定の自動車保険に加入)を借りて運転する場合、万が一の補償を受けるためにはどうしたらいいのでしょうか?(上の表で行くと、孫は「左記以外の親族」にあたります。)

その場合に使えるのが、「他車運転(補償)特約」です。この特約をつけることにより、臨時に借りた「他の自動車」で運転中に対人事故などを起こした場合、その車を自分の加入している自動車保険の「被保険自動車」とみなして保険金が支払われます。

なお、この特約の適用対象となるのは記名被保険者およびその家族(配偶者及び同居親族、別居の未婚の子ども)で、補償の対象となるのは対人事故・対物事故・自損事故・車両事故(自分の自動車保険で車両保険をかけている場合に限る)です。

また、この特約が適用されるには、以下①、②の条件を満たした車であることが必要です。

①以下の車種に該当すること

自家用8車種

自家用普通乗用車

自家用小型乗用車

自家用軽四輪乗用車

自家用普通貨物車(最大積載量0.5トン超2トン以下)

自家用普通貨物車(最大積載量0.5トン以下)

自家用小型貨物車

自家用軽四輪貨物車

特殊用途自動車(キャンピング車)

※緑ナンバーの営業車両や、2トン超のトラック、建設車両などは自家用8車種に含まれません。

②記名被保険者、配偶者、同居の親族が所有または主に使用する自動車ではないこと

この20歳の孫のケースにおいて、孫は自身の自動車を持っておらず、孫の父親の自動車保険に他者運転危険補償特約が付帯しているとします。

このとき、その父親の自動車保険が、「夫婦限定」の運転者限定特約をつけた契約だった場合は、孫は被保険者ではなくなってしまうため、他車運転危険補償特約による補償は受けられないので注意が必要です。

被保険者の範囲を限定して保険料を節約したり、臨時で他の車の運転をするときまで補償の範囲を拡大したりと、自動車保険には車を使う人のさまざまな条件に合わせられる特約が数多くありますので、保険情報のサイトで調べたり相談窓口に相談することで、より自分の状況に合う自動車保険を組み立ててみてはいかがでしょうか。

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駒野彩子

(K&Bプランニング小澤美奈子監修)