自動車保険について「自動車にまつわるリスク」

自動車にまつわるリスクとは

私たちが自動車を所有し、使用するときには、損害賠償リスクや人的なリスクなど、さまざまなリスクと向き合うことになります。ここでは、自動車保険にまつわるリスクについて確認していきます。

交通事故に関するリスク

自動車を所有し、使用するときには、以下のようなリスクが想定されます。

損害賠償リスク他人の身体や財物に損害を与え、法律上の損害賠償責任を負う
人的リスク運転者や同乗者が死傷する
物的リスク自動車が破損・汚損する
費用リスク

損害が発生したことにともない発生する

(例:事故が起こったときの代車費用など)

自動車同士の衝突など、大きな事故が起こったときは「損害賠償損害」「人的損害」「物的損害」が一度に発生します。また、どんなに小さな事故であっても、これらのうちいずれかの損害が生じます。

現代の自動車社会では、自動車に乗っている人も、そうでない人でも、日常生活を送る中で自動車にまつわるリスクと向き合う可能性は非常に高いといえます。では、自動車の事故はどのくらい、どんな状況で起きているのでしょうか。

交通事故の発生状況

近年、自動車の安全性能の向上や、法令や規制の強化などにより、日本における交通事故の発生件数は減りつつあります。しかし、それでも平成29年には年間3,694人の死者および、58万人以上の負傷者(うち重傷者は3万6,895人)が発生しています。

図 交通事故発生状況の推移(平成26年~平成29年)

図 交通事故発生状況の推移(平成26年~平成29年)

出典:警察庁交通局「平成29年における交通事故の発生状況」

続いて事故の内容をみてみると、車と車(車両相互)の追突・衝突による事故が8割を超えています。

表1 事故類別型交通事故件数(平成29年)

車両相互人対車両車両単独列車 *1
433,790(87.2%)50,756(10.2%)12,528(2.5%)69(0.01%)

出典:警察庁交通局「平成29年中の交通事故の発生状況」

*1 列車とは、列車が当事者となった踏切上の事故をいう。

交通事故の損害賠償額

自動車の事故は人にも物にも大きな損害をあたえます。他人を死傷させてしまった場合には、被害者やその家庭を悲惨な生活に陥れてしまうだけではなく、加害者も高額な損害賠償責任を負うことになります。特に近年、交通事故の賠償額は高額になっており、人身事故では損害賠償額が5億円、物損事故では2億円を超えるような判決例があります。

表2 人身事故の高額賠償判決例

認定総損害額態様裁判所判決年月日被害者
性別・年齢職業
5億2、853万円死亡横浜地裁平成23年11月1日男性・41歳眼科開業医
3億9,725万円後遺障害横浜地裁平成23年12月27日男性・21歳大学生
3億9,510万円後遺障害名古屋地裁平成23年2月18日男性・20歳大学生

出典:損害保険料算出機構「平成27年度 自動車保険の概況」より抜粋

表3 物損事故の高額賠償判決例

認定総損害額裁判所判決年月日被害物件
2億6,135万円神戸地裁平成6年5月29日積荷(呉服・洋服・毛皮)
1億3,580万円東京地裁平成3年2月23日店舗(パチンコ店)
1億2,037万円福岡地裁昭和55年7月18日電車・線路・家屋

出典:損害保険料算出機構「平成27年度 自動車保険の概況」より抜粋

自動車を所有し、使用する場合に自動車保険に加入することが不可欠であるといわれているのは、このように自動車の事故が起きたときのさまざまな損害に対し、保険の力を借りずに個人で対応することが極めて難しいからなのです。

自動車を使用する際のリスクに対応する自動車保険の補償は以下のとおりになります。

表4 自動車のリスクと対応する自動車保険の補償内容

身体の損害(死傷)財物の損害
相手への賠償

相手を死傷させた

対人賠償責任保険

<損害賠償リスク>

相手の財物を壊した

対物賠償責任保険

<損害賠償リスク>

相手を死傷させた

自賠責保険(強制保険)

<損害賠償リスク>

自分等への補償

自分や搭乗中のものが死傷した

人身傷害保険

搭乗者傷害保険 *1

<人的リスク>

自分の車が事故で破損した

車両保険

<物的リスク>

*1 このほかに、自損事故保険や無保険車傷害保険もあります。

このように自動車保険の加入で大きな損害が起こったときのそなえるだけではなく、安全性能の高い自動車を選ぶ、交通規則を守って、事故の発生しやすい場所では特に注意して運転する、など自動車にまつわるリスクを少しでも減らす努力が必要となるでしょう。

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駒野彩子(K&Bプランニング小澤美奈子監修)