先進医療給付金の直接支払いとは

保険会社によっては先進医療給付金の「直接払い」も!

今や一般に知られるようになってきた先進医療特約ですが、保険会社によってそのサービスに違いがあります。それは、先進医療を受ける病院への直接払いができるかどうかです。

陽子線治療や重粒子線治療で300万円!?

「先進医療」という言葉、耳にしたことはないでしょうか? 厚生労働省が定める高度な医療技術を用いた医療のことをいいます。
先進医療には保険は適用されませんので、該当する医療を受ける際、その技術料は全額自己負担になります。先進医療を厚生労働省が認めた医療機関で受けた場合に限り、それ以外の診察や検査、入院費などは保険適用となり負担が軽減されます。

新しい技術を用いた医療である一方、今後、保険診療の対象になるかどうかを評価される途中の医療技術なども含まれます。先進医療に該当する技術は2018年11月1日時点で、先進医療A:28種類、先進医療B:64種類となっており、最も多く実施されている先進医療が「多焦点眼内レンズを用いた水晶体再建術」となっています。

実は、先進医療の技術料で高額になるものの多くは、がんの治療に関わる技術です。たとえば、利用が広がってきた、陽子線(水素の原子核)を用いる「陽子線治療」や、炭素原子を用いる「重粒子線治療」などは、がん細胞を狙い撃ちできるのが特徴です。

表 先進医療 年間実施件数 上位順 (1~5位)

先進医療技術名1件あたりの先進医療費用平均入院期間年間実施件数
多焦点眼内レンズを用いた
水晶帯再建術
58万1,224円1.2日1万4,433件
前眼部三次元画像解析3,484円0.3日1万1,595件
陽子線治療276万5,086円12.6日2,319件
重粒子線治療314万9,172円7.0日1,558件
EBウイルス感染症迅速診断
(リアルタイムPCR法)
1万4,607円58.2日255件

出典:厚生労働省 平成29年度 先進医療の実施報告から計算(平成28年7月1日~平成29年6月30日)
中央社会保険医療協議会 総会(第384回)
平成29年6月30日時点で実施されていた先進医療の実績報告について

先進医療は定期的に評価され、有効性がないと判断されると外されることもあります。逆に、有効性や安全性が認められると保険適用になる場合もあります。たとえば、2017年4月から小児がんなどに対する陽子線治療が保険診療になりました。

先進医療特約は付いている?「直接払い」はできる?

もし、あなた自身や家族が、がん治療でほかの方法では効果がなく、陽子線や重粒子線治療を受けてみたいと考えたとき、先進医療特約を付けていれば、高額の技術料は保険でまかなわれます

「先進医療を受ける確率はかなり低い」からと、この特約を不要だというFPもいますが、むしろ逆ではないでしょうか。保険の役割はそもそも発生した時の経済的リスクを保障することです。めったに起きないけれども、起きたときには数百万円の負担にもなりかねない。それは保険でカバーすべきリスクです。

なお、先進医療特約を付ける際には、特約だけを付加することは通常できません。単体で入れる商品もありますが、特約に比べ保険料が割高になってしまいます。医療保険やがん保険の見直しと一緒に付けるのがベターかもしれません。

そして、実際に先進医療特約を付けるときには、次の2点に注意しましょう。
1つは、付けるのであればがん保険より医療保険に付けた方が対象となる技術が広くなります。がん保険の場合は、がんに関する先進医療限定となってしまいます。

もう1つは、先進医療特約に入るときに、給付金の「直接払い」が可能かどうかを確認しましょう。病院への直接払いが可能な商品であれば、陽子線治療や重粒子線治療を受けたときの高額な技術料を立て替える必要はなく、安心して治療に専念できます。最近は直接払いができる保険会社が増えていますが、まだ対応できていないところもあるので、念のため確認しましょう。


子どもマネー総合研究会
豊田眞弓

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