怖いのはがんだけではない!備えておきたい「三大疾病」

怖いのはがんだけではない!備えておきたい「三大疾病」

2018年12月に、「脳卒中・循環器病対策基本法」が成立しました。がんだけでなく、脳卒中や循環器の病気も怖い病気として認識されたことになります。「三大疾病」、しっかり備えておきたいものです。

今、「三大疾病」が注目される理由とは?

「三大疾病」とは、がん、心疾患、脳血管疾患を指します。近年、この3つの病気が国民病として認識され、対策が取られるようになっていることをご存知でしょうか。

そもそも三大疾病は、日本人の死因のTOP3で命にかかわる病気です。
患者になってからは、健康な時と同じようには働けず、入退院を繰り返すことで家族や生活への負担が大きくなります。

脳卒中は、寝たきりになる原因の3割以上、認知症になる原因の約2割を占め、自分だけでなく、家族の暮らしにまで影響が及ぶ病気といえます。循環器病の中でも、心不全は5年間の死亡率が50%と高く、急性心筋梗塞や大動脈解離、心不全なども突然命を奪いかねない怖い病気です。

表1 日本人の死亡原因

第1位悪性新生物(がん)27.9%
第2位心疾患15.3%
第3位脳血管疾患8.2%
第4位老衰7.6%
第5位肺炎7.2%

がんについては、2006年に「がん対策基本法」が定められ、現在、「がん対策推進基本計画」が3期まで進められています。3期の目標は、(1)科学的根拠に基づくがん予防・がん検診の充実、(2)患者本位のがん医療の実現、(3)尊厳を持って安心して暮らせる社会の構築、となっています。

一方、「脳卒中・循環器病対策基本法」についても2018年12月に成立。今後、がん同様に「脳卒中・循環器病対策推進基本計画」が策定され、予防や医療の充実などが推進されていく予定です。

三大疾病に備える「三大疾病保険・特約」

私たちの命や生活を脅かしかねない三大疾病ですが、これらを保障する保険が三大疾病保険と三大疾病特約です。世帯加入率は39.6%とほぼ4割で、生活者のニーズも高い保険といえます。

単体の三大疾病保険は、がん、心疾患(急性心筋梗塞)、脳血管疾患(脳卒中)の三大疾病に対する保障と、死亡・高度障害保障を兼ねた保険です。三大疾病で所定の状態になった場合に保険金が支払われると、通常、その時点で契約は消滅します。三大疾病保険金を受け取ることなく死亡したときは、死亡保険金を受け取れます。保険期間は、定期型と終身型があります。

一方、三大疾病特約は、終身保険や収入保障保険、定期保険、医療保険などの主契約に付ける特約で、単体と同様の保障内容です。三大疾病で所定の状態になったときに保険金が受け取れ、三大疾病保険金を受けとることなく死亡した場合は、死亡保険金を受け取れます。

それぞれの疾病ごとに下記のような給付条件がありますが、この内容は保険会社や加入時期で異なる場合があります。

  • がん
    医師によって確定診断されたときなどに保険金が支払われます。上皮内がんが対象外だったり、保障額が低く設定されている場合もあります。通常、加入から90日間の待ち期間があり、この間は保障の対象にはなりません。
  • 心疾患(急性心筋梗塞に限定している商品も多い)
    対象となる病気は商品によって異なります。急性心筋梗塞だけを対象としている商品が多いですが、狭心症や心不全、不整脈なども対象となる商品があります。一般的な商品ですと、急性心筋梗塞で医師の診察を受けた日から、60日以上医師による労働の制限が継続したときに保険金が支払われます。労働の制限の代わりに入院や手術を要件とする商品もあり、入院で日数制限があるものは「5日以上」、「15日以上」、「20日以上」などさまざまです。
  • 脳血管疾患(脳卒中に限定している商品も多い)
    従来型の商品は、脳卒中で医師の診察を受けた日から60日以上、言語障害、運動失調、まひなどの神経学的後遺症が継続したと医師によって診断されたときに保険金が支払われます。商品によっては、より範囲が広く、くも膜下出血や脳内出血、脳梗塞まで対象となるものもあります。後遺症の継続ではなく、手術または入院を要件とする商品もあります。入院で日数制限があるものは、「5日以上」、「15日以上」、「20日以上」です。

なお、三大疾病保険金と死亡保険金は重複して受け取れない商品がほとんどですが、中には重複して受け取れる商品もあります。三大疾病保険・特約に加入している場合は、保障内容を一度確認しておきましょう。

三大疾病保険料払込免除特約の中身も商品で異なる!

三大疾病に関連する保障として、医療保険に付ける三大疾病保険料払込免除特約があります。がん、心疾患(急性心筋梗塞)、脳血管疾患(脳卒中)で所定の状態になったときに保険料が免除される特約です。この特約で払込免除になる条件も、保険会社や加入時期で異なります。

  • がん
    上皮内がんが対象外である特約が多い中、一部に上皮内がんを対象とする商品もあります。
  • 心疾患
    急性心筋梗塞のみのものから、急性心筋梗塞に加えて、狭心症や肺塞栓症(はいせんそくしょう:エコノミークラス症候群)、不整脈、心不全その他の心疾患が含まれる特約もあります。しかも、「60日以上、医師による労働制限が継続したとき」だけでなく、入院や手術を要件とする商品もあります。入院で日数制限があるものは「5日以上」、「15日以上」、「20日以上」です。
  • 脳血管疾患
    くも膜下出血や脳内出血、脳梗塞で所定の状態になったときに対象となる特約のほか、硬膜下出血や脳動脈瘤などまで対象とするものもあります。適用条件は、「60日以上、言語障害、運動失調、まひなどの神経学的後遺症が継続したと医師によって診断されたとき」、だけでなく、入院または手術を要件とする商品もあります。入院で日数制限があるものは「5日以上」、「15日以上」、「20日以上」もあります。

三大疾病保険料払込免除特約を付けている場合も、ぜひ内容を点検して、どのようなときに払込免除になるのかを確認しておきましょう。

おわりに

三大疾病保障を付けている場合は、自身の保障内容がどのようなものか、しっかり把握をしておきましょう。たとえ、同じ保険会社から新しい三大疾病保険が発売されたり、同じ保険商品の特約がリニューアルされたりしても、実際に適用されるのは加入した時点の商品や特約です。ぜひ一度、どのような三大疾病保障があるのか確認しておきましょう。

「もっと三大疾病の保障範囲が広い方が良い」という場合など、保険を見直したい場合には、ぜひ専門のコンサルタントにご相談ください。

子どもマネー総合研究会、ファイナンシャル・プランナー
豊田眞弓

脳卒中・循環器病対策基本法の成立を求める会 なぜ、今「脳卒中・循環器病対策基本法」が必要か パンフレット
厚生労働省「平成 29 年(2017) 人口動態統計(確定数)の概況」より作成
生命保険文化センター「生命保険に関する全国実態調査(平成30年度)」

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