火災リスクについて「すまいにまつわるリスク [盗難・水濡れ・破損について]」

住宅に発生するさまざまな損害

すまいにまつわるリスクのうち、「盗難・水濡れ・破損」という、日常生活で発生するリスクについてみてみましょう。

盗難

まずは泥棒による盗難=侵入窃盗についてです。
日本における侵入窃盗の件数は、平成15年以降減少に転じ、平成28年は76,477件で14年連続で減少しています。このうち住宅への侵入窃盗は、平成16年以降減少しており、平成28年は39,249件で同じく連続して減少していますが、発生件数をみると1日あたり107件と、火災(1日あたり101件発生)よりも多い頻度で発生していることがわかります。

侵入窃盗認知件数の推移

侵入窃盗認知件数の推移

(出典:警察庁「住まいる防犯110番」ホームページより)

また、侵入窃盗が発生している場所を見てみると、住宅が57.7%と最も多く(一戸建て住宅が41.2%、3階建以下の共同住宅が11.9%、4階建以上の共同住宅が4.6%)、次に一般事務所が13.0%とつづいています。

侵入窃盗の発生場所別認知件数

侵入窃盗の発生場所別認知件数

(出典:警察庁「住まいる防犯110番」ホームページより)

水濡れ損害

水道管が破裂し、水が漏れだして床が水浸しになる、そんな水濡れ損害に関する保険金の支払いが近年増加しています。

<水濡れ損害による支払状況>

水濡れ損害による支払状況

(出典:損害保険料率算出機構 「2017年度火災保険・地震保険の概況」)

それには日本における建築物の老朽化が影響していると考えられます。
建物が古くなるにつれて、給排水設備も老朽化が進み、漏水等の事故が起こりやすくなると言われています。例えばマンションは最初に給水管についての修繕工事を行う目安は建設後20年後とされていますが(国土交通省「マンション管理標準指針」)、1974年以前に建築されたマンションのうち、大規模な修繕工事において給水設備の修繕が実施された建物は約45%と、半分以上のマンションでは修繕されていません。(国土交通省「平成25年度マンション総合調査結果」)
また、日本の水道管の多くは1970年代に整備されており、2014年度の調査では日本の水道管の12.1%が法定耐用年数の40年を超えていますが、新しい水道管への交換作業はなかなか進んでおらず、今後水道管の破裂や水漏れによるリスクは、増していくことが予想されています。

破損

破損のリスクには、例えば以下のようなものが想定されます。
●建物に自動車が飛び込んで来た
●デモに伴う暴力行為により、建物が壊された
●泥棒がはいったことによる窓ガラスやドアの破損
こういった事故が発生する頻度は低いかもしれませんが、例えばベランダの物置から季節家電を部屋に運び入れているときに、誤ってぶつけ、窓ガラスを壊してしまったなどという事故は、起こる可能性が比較的高いと思われます。

以上のような日常生活で起こる事故による「物的リスク」も火災保険で補償することができます。
これまで述べてきたように、火災を始めとして、すまいをとりまく様々なリスクに対して備えをする火災保険は、わたしたちが安心して日常生活を送るために欠かせない保険と言えるでしょう。

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小澤美奈子