火災リスクについて「すまいにまつわるリスク「水災について」」

水災や土砂災害がおよぼす損害とは

日本は、地震や噴火、台風などの自然災害の多い国として知られています。さらに近年はゲリラ豪雨のような前例のない雨による災害も増えているようです。ここでは、水災や土砂災害に関するリスクについて、データを使って解説していきます。

猛烈な雨は増加している

地球温暖化の影響でしょうか。近年、ゲリラ豪雨などによる雨の被害が頻繁に報告されています。
実際はどうなのでしょうか。下表は、1時間に80mm以上の雨が降る回数の増加を示している表です。

[アメダス]1時間降水量80mm以上の年間発生数

出典:気象庁ホームページ 「全国の1時間降水量80mm以上の年間発生回数の経年変化(1976~2017年)」

上記表の赤い直線は、観測している期間の変化の傾向を表している線になります。
表を見る限り、1975年以降、猛烈な雨が増えていることは明らかです。気象庁によると、1時間降水量80mm以上のアメダス1,000地点あたりの年間発生回数は、統計期間(1976~2017年)の10年間あたりでは約2.2回の割合で増加。
10年間(2008~2017年)の平均年間発生回数(18.1回)は、統計期間の最初の10年間(1976~1985 年)の平均年間発生回数である10.7回と比べて、約1.6倍に増加しているとされています。

原因の一つは地球温暖化による気温の上昇?

度重なるゲリラ豪雨や台風の発生には、地球温暖化が大きな要因であると指摘されています。
下表は、気象庁のホームページに掲載されている「日本の年平均気温偏差」のグラフです。
黒い細線は、各年の平均気温の基準値からの偏差、青い太線は偏差の5年移動平均、赤い直線は長期的な変化傾向を示す線です。
日本の年平均気温は、100年あたり約1.19℃の割合で上昇しており、特に1990年代以降は高温となる年が頻出していることが確認できます。

日本の年平均気温偏差

出典:気象庁ホームページ 「日本の年平均気温の偏差の経年変化(1898〜2017年)」

水害や土砂災害の被害状況

大雨や短時間に降る強い雨にともない、深刻な住宅被害も報告されています。
下表は、消防庁の「平成29年版消防白書」に掲載されている「風水害による住家被害(全壊・半壊)」の件数を示す表です。
2011年以降は、毎年1000件以上の住家の被害が続いています。その中で2011年の被害が多いのは、2011年9月に上陸した台風12号によるもの、また2015年については9月に東北と関東をおそった台風10号が大きく影響しているからです。

表 風水害による被害状況の推移(住家被害 全壊・半壊)

風水害による住家被害(全壊・半壊」)

出典:総務省消防庁 「平成29年版消防白書」をもとに作成

2016年の風水害による住家の被害における詳しい数値は、全壊が591棟、半壊は2,602棟、一部損壊は5,215棟。また、浸水被害については、床上浸水は2,375棟、床下浸水は10,520棟となっています。

また、内閣府のホームページでは、最近の水害や土砂災害を原因とした住家等のより詳しい被害状況が報告されています。

2014年
8月20日
平成26年(2014年)8月豪雨(広島土砂災害)
8月19日から20日にかけて、広島市で1時間降水量101mmという猛烈な雨。

安佐南区などで土砂災害が発生し、死者77人、住家全壊179棟を出す被害。
2015年
9月9日~
9月11日
平成27年9月関東・東北豪雨
台風・前線の影響で、西日本~北日本の広い範囲で大雨となり、茨城県常総市では、鬼怒川の堤防が決壊。常総市の面積の約3分の1にあたる約40㎢が浸水する被害が生じるなど、2万棟近くの住家が被害。
2016年
8月16日~
8月31日
平成28年台風第7号、第11号、第9号及び第10号 8月30日、台風第10号が岩手県に上陸。岩手県岩泉町では、小本川が氾濫し、グループホームに水が流れ込むなど、東北・北海道の各地で死者・行方不明者27人、500棟を超える住家全壊を出す被害が発生。

出典:内閣府 防災ページ

http://www.bousai.go.jp/kyoiku/hokenkyousai/suigai.html

水害や土砂災害の被害状況

火災保険では、台風・暴風雨・豪雨などによる洪(こう)水、融雪洪(こう)水、高潮、土砂崩れ、落石などによる被害を「水災」補償により担保しています。
保険金は、次のいずれかの損害が生じた時に支払われます。
・建物や家財それぞれの損害割合が30%以上の場合
・床上浸水、または地盤面より45㎝を超える浸水の場合

火災保険商品の中には、水災補償を取り外せるものあります。
たとえばマンションの居住者など、水災補償が不要だと思う方は、保険の加入前に取り外しが可能かどうかを確認するとよいでしょう。
また、自分が住む場所にどれくらいの水害リスクがあるかを確認したい場合は、国土交通省のハザードマップで確認することをオススメします。
国土交通省ハザードマップポータルサイト
https://disaportal.gsi.go.jp/

免責・禁止事項

このページは、保険、金融、社会保険制度、税金などについて、一般的な概要を説明したものです。
内容は、2019年11月時点の情報にもとづき記載しております。定期的に更新を行い最新の情報を記載できるよう努めておりますが、内容の正確性について完全に保証するものではございません。
掲載された情報を利用したことで直接・間接的に損害を被った場合であってもニッセンライフは一切の責任を負いかねます。
文章、映像、写真などの著作物の全部、または一部をニッセンライフの了承なく複製、使用等することを禁じます。
保険商品等の詳細については、ニッセンライフへお問い合わせください。

K&Bプランニング

小澤美奈子